簡単に書くよ
温帯低気圧(読:おんたいていきあつ)とは
前線を持つ低気圧のこと
です。
詳しく書くよ
予備知識
梅雨を理解する予備知識としてまずは
- 前線
について簡単に説明します。
前線
前線(読:ぜんせん)とは
暖かい空気と冷たい空気がぶつかった面(=前線面)と地面が接する部分のこと
です。
暖かい空気と冷たい空気がぶつかると、2つの空気はすぐには混ざらず、境目ができます。
冷たい空気は暖かい空気よりも密度が大きいので、暖かい空気の下に潜り込むように入っていきます。
こうした2つの空気の境界面を前線面といい、前線面が地面と交わる部分を前線といいます。
前線の種類は大きく分けて温暖前線、寒冷前線、停滞前線、閉塞前線の4つです。
温暖前線(読:おんだんぜんせん)とは
暖かい空気の押す力が冷たい空気より強いときにできる前線のこと
です。
暖かい空気の押す力(=勢力)が強いので、冷たい空気を押すようにして進みます。
天気図では温暖前線は以下の記号で表します。
寒冷前線(読:かんれいぜんせん)とは
冷たい空気の押す力が暖かい空気より強いときにできる前線のこと
です。
冷たい空気の押す力(=勢力)が強いので、暖かい空気を押しのけるようにして進みます。
天気図では寒冷前線は以下の記号で表します。
停滞前線(読:ていたいぜんせん)とは
暖かい空気と冷たい空気の押す力が同じときにできる前線のこと
です。
暖かい空気と冷たい空気の押す力(=勢力)が同じなので、前線はほとんど動きません。
天気図では停滞前線は以下の記号で表します。
閉塞前線(読:へいそくぜんせん)とは
寒冷前線が温暖前線に追いついてできる前線のこと
です。
一般に、寒冷前線は温暖前線より移動のスピードが速いです。
そのため、低気圧周辺などで寒冷前線が温暖前線に追いついてできる前線を閉塞前線といいます。
なんで、寒冷前線は温暖前線より移動のスピードが速いの?
それは、寒冷前線と温暖前線の仕組みの違いで説明できるよ!
寒冷前線は暖かい空気の下に潜り込もうとする前線なので、冷たい空気の進むスピードで前線が進みます。
一方、温暖前線は冷たい空気の上に昇ろうとする前線なので、前線の位置はあまり動きません。
だから、寒冷前線の方が動きが速いんだね!
天気図では閉塞前線は以下の記号で表します。
温帯低気圧とは
では、温帯低気圧(読:おんたいていきあつ)について見ていきましょう。
温帯低気圧とは簡単に言うと
前線を持つ低気圧のこと
です。
前線を持つということは、暖かい空気と冷たい空気がぶつかっているということです。
暖かい空気と冷たい空気は、日本などがある中緯度帯(緯度30〜60度付近)でよくぶつかります。
例えば、赤道近くの低緯度帯(緯度0〜30度付近)だと北も南も暖かい空気ばかりですよね。
同様に、北極や南極近くの高緯度帯(緯度60〜90度付近)は北も南も冷たい空気ばかりです。
つまり、南に暖かい空気、北に冷たい空気がある中緯度帯は、暖かい空気と冷たい空気がぶつかって前線ができやすく、温帯低気圧もできやすいというわけです。
ちなみに、中緯度帯のことを温帯(読:おんたい)ともいいます。
温帯にできる低気圧だから温帯低気圧というのです。
前線ができやすい中緯度帯(温帯)でできる低気圧を温帯低気圧っていうんだね。
じゃあ、なんで前線ができやすいと温帯低気圧もできやすいの?
いい質問だね!
それは、温帯低気圧のでき方に関係しているよ!
温帯低気圧のでき方
温帯低気圧のでき方を見てみましょう。
① 暖かい空気と冷たい空気がぶつかった所に前線ができる(温帯低気圧の卵)
まず、南側の暖かい空気(以下、暖気)と北側の冷たい空気(以下、寒気)がぶつかって前線ができます。
このとき、2つの空気の押す力はほとんど同じなので停滞前線ができます。
この停滞前線は温帯低気圧の卵です。
② 前線がぐねぐね波打って渦になる(温帯低気圧の赤ちゃん)
しかし、いつまでも同じ力で押し合うわけではありません。
そのうち、暖気と寒気の押す力に差が出てきます。
この押す力の違いによって前線はぐねぐね南北方向に波を打ち始めます。
この波の中心に気圧が低いところができて、低気圧が発生します。
この発生した低気圧が温帯低気圧の赤ちゃんです。
③ 温暖前線と寒冷前線ができる。(温帯低気圧の成長)
前線の南側の暖気は北方向に向かい、寒気は南方向に向かう流れとなります。
前線の波動の東側(右側)は温暖前線となり、西側(左側)は寒冷前線になります。
そして、低気圧の西側では寒気が南下し、東側では暖気が北上して雨雲を発達させることで、低気圧が成長します。
なんで寒冷前線は西側で、温暖前線は東側になるの?
北半球では低気圧の渦は反時計回りになっているからだよ!
北半球では低気圧周辺の風は反時計回りに流れています。
今はまだ理解できなくてもいいですが、地球上の空気には地球の自転に伴うコリオリ力(読:こりおりりょく)という力がはたらきます。
このコリオリ力によって北半球では低気圧周辺の風は反時計回りに流れるのです。
とりあえず、低気圧の西側に寒冷前線、東側に温暖前線ができるって覚えておけばOKだよ!
④ 寒冷前線が温暖前線に追いつき、閉塞前線ができる(温帯低気圧の最盛期)
温帯低気圧ができてしばらくすると、寒冷前線が温帯低気圧に追いつき、閉塞前線を形成します。
閉塞前線ができ始めた時期が南北の寒暖差が一番大きく、雲が発達しているため、温帯低気圧が一番発達している時期と言えます。
つまり、温帯低気圧の最盛期は閉塞前線ができ始めた頃です。
⑤ 閉塞前線が温帯低気圧から切り離され、温帯低気圧が消滅する(低気圧の消滅)
やがて、地上は寒気に覆われ、暖気は上空へ追いやられます。
前線は暖気と寒気のぶつかった所が地表と接する部分ですので、地上に寒気しかない場合は前線ができません。
こうして、低気圧の中心から前線が少しずつ離れていき、温帯低気圧は消滅します。
これが温帯低気圧の一生です。
簡単にまとめるよ
温帯低気圧とは
中緯度帯で発生し、前線を持つ低気圧のこと
であり、
暖かい空気と冷たい空気の温度差で成長する低気圧のこと
です。
なんとなく分かったかな?
読んでくれてありがとう!
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