2023年6月26日、気象庁は台風進路予報の「予報円」と「暴風警戒域」を従来より絞り込むと発表しました。
そこで、今回は
- そもそも予報円や暴風警戒域って何?
- どれくらい予報円や暴風警戒域が小さくなるの?
- どうして予報円や暴風警戒域が小さくなるの?
- いつから予報円や暴風警戒域が小さくなるの?
という人に向けて、気象庁が発表した情報を分かりやすく解説します!
はじめに
予報円とは
予報円とは
台風の中心が70%の確率で入る範囲のこと
です。
逆に言えば、台風は必ずしも予報円の中心を進むわけではありません。
予報円が大きいほど、台風がどこに進むかが定まっておらず、今後の進路がまだわからない要素が大きいということです。
予報円の大きさは「台風の中心が入る可能性のある範囲」だよ!
「台風の大きさ」や「台風の強さ」ではないから注意してね!
台風の現在位置に近いほど予報円が小さくなるのは、予想が正確になるからなんだね!
暴風警戒域とは
暴風警戒域とは
台風の中心が予報円内に進んだ場合に、暴風域※に入る可能性のある範囲のこと
です。
※暴風域:平均風速25m/s以上の風が吹く範囲のこと。
予想時刻に台風の暴風域が無くなる場合、暴風警戒域は無くなって、予報円のみ表示します。
その他、詳しい台風情報の見方は以下の記事で解説しています。
台風の予報円が小さくなるってホント?
2023年6月26日、気象庁は「予報円」と「暴風警戒域」を従来より絞り込むと発表しました。
気象庁の報道発表資料はこちらからご覧ください。
では、具体的にどのように変わるのか見ていきましょう。
どれくらい小さくなるの?
今回の見直しでは、3日先以降の予報円が大きく改善し、5日先の予報円の半径はこれまでと比べて
最大40%小さくなります。
また、4日先は30%、3日先は20%、2日先は8%それぞれ最大で小さくなり、それに伴って暴風警戒域も小さくなります。
予報の信頼度が同じ場合、新たな5日先の予報円の半径が、現在の4日先の予報円よりも小さくなるようなイメージです。
どうして小さくなるの?
予報円が小さくなる理由は
数値予報技術等の改善により、台風の進路予報の精度が向上しているため
です。
気象庁はスーパーコンピュータで計算した数値予報モデルをもとに、台風予報や天気予報などを作成しています。
このスーパーコンピュータの性能向上や数値予報モデルの改善などにより、年々、台風の進路予想の精度が向上しています。
以下の表は、台風の進路予報の精度の推移を表しています。
縦軸は台風の進路予想の誤差を表し、上に行くほど誤差が大きく、下に行くほど誤差が小さくなります。
横軸は年を表し、右に行くほど新しくなります。
各プロットは1日先~5日先までの台風の進路予想の誤差を色別で表しています。
例えば、赤色のグラフは1日先(24時間予報)の、青色のグラフは5日先(120時間予報)の台風の中心位置の誤差を表しています。
予報円の大きさは「台風の中心が入る可能性のある範囲」ですので、台風の予想進路の誤差が大きいと、予報円は大きくなり、誤差が小さいと、予報円は小さくなります。
予報円が小さくなると、それに伴って暴風警戒域も小さくなります。
このグラフを見てみると、予報時間が延びる(先の日になる)ほど、台風の予想進路の誤差が大きくなっていることが分かります。
これは、1日先よりも2日先、2日先よりも3日先の方が予想が難しくなるので、直感的に理解できると思います。
注目してほしいのは、このグラフが全体的に右肩下がりになっていることです。
これが何を表すかというと、
台風の予想進路の誤差が年々小さくなっている
ということです。
まとめると、スーパーコンピュータの性能向上や、数値予報モデルの改善などにより、台風の予想進路の誤差が小さくなることで、予報円や暴風警戒域が小さくなる、ということです。
もっと詳しく知りたい方は、気象庁の予報技術研修テキストをご覧ください。
参考:予報技術研修テキスト「https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/yohkens/24/chapter6.pdf」
いつから小さくなるの?
2023年6月26日以降に発生した台風(2023年台風第4号)から適用されています。
今見ている予報円は小さくなった予報円なんだね!
毎年小さくなっているの?
スーパーコンピュータの性能向上や数値予報モデルの改善は毎年行われていますが、
予報円や暴風警戒域は毎年小さくなっているわけではありません。
今回の予報円の見直しは2019年6月以来4年ぶりで、それ以前は2016年、2014年などに行われています。
台風情報はどこで見れるの?
台風情報は気象庁が発表しています。
台風の5日(120時間)先までの24時間刻みの予報を6時間ごとに発表します(1日(24時間)先までの12時間刻みの予報は3時間ごとに発表)。
ウェザーニュースやtenki.jpなどでも台風情報を見れますが、基本的には気象庁が発表している台風情報と同じです。
個人的には、気象庁の台風情報が一番見やすいと思っています。
まとめ
今回は台風情報の見方を解説しました。
- 気象庁は台風進路予報の「予報円」と「暴風警戒域」を従来より絞り込むと発表した。
- 数値予報技術等の改善により、台風の進路予報の精度が向上し、予報円は最大で約40%小さくなる。
- この変更は2023年6月26日以降に発生した台風から適用される。
- 予報円の見直しは2019年以来
- 暴風警戒域は「台風の中心が予報円内に進んだ場合に、暴風域に入る可能性のある範囲」のこと。
- 台風の大きさは「強風域の半径」で決まる。
- 台風の強さは「最大風速」で決まる。
台風情報を正しく読み取れると、正しい防災対策や避難行動ができるようになります。
気象業界には「腐っても鯛(意味:鯛は腐っても鯛で、価値は変わらない)」になぞらえた「腐っても台風」という言葉があります。
台風が弱まって勢力が衰えても(=腐っても)絶対に油断するな、という教訓から生まれた言葉です。
どんなに弱まっても台風は台風です。
正しい知識と行動で台風に備えましょう。
なんとなく分かったかな?
読んでくれてありがとう!
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