簡単に書くよ
熱帯低気圧(読:ねったいていきあつ)とは
前線を持たない低気圧のこと
です。
詳しく書くよ
熱帯低気圧にはなんで前線がないの?
いい質問だね!
それは、熱帯低気圧ができる場所に関係しているよ!
熱帯低気圧ができる場所
熱帯低気圧は、赤道近くの低緯度帯( = 熱帯(読:ねったい)・緯度0〜30度付近)で発生します。
熱帯にできる低気圧だから熱帯低気圧といいます。
前線を持たないということは、暖かい空気と冷たい空気がぶつかっていないということです。
熱帯低気圧が生まれる熱帯の海は、太陽の熱で暖められて海面水温が高くなっています。
下図は日本付近の海面水温の一例です。
南に行くほど海面水温が高くなっていることがわかります。
出典:気象庁「北西太平洋 日別海面水温」
そして、熱帯の海面水温が高い領域は、北も南も暖かく、冷たい空気がないため前線ができません。
なので、熱帯低気圧は前線を持たないのです。
熱帯でできるから前線がないんだね。
じゃあ、なんで前線がないのに低気圧ができるの?
それは、熱帯低気圧のでき方に関係しているよ!
熱帯低気圧のでき方
熱帯低気圧のでき方を見てみましょう。
① 熱帯の海域で上昇気流が発生(熱帯低気圧の卵)
8月〜9月にかけて熱帯(緯度0〜30度付近)の海域は、太陽の熱に暖められ、海水がたくさん蒸発します。
すると、海面付近の暖かい空気と上空の冷たい空気との気温差により、上昇気流が発生します。
② 熱帯の海域で上昇気流が発生(熱帯低気圧の赤ちゃん)
上昇気流が発生すると、水蒸気を多く含んだ暖かい空気が上空へ持ち上げられて雲ができます。
雲ができるということは、水蒸気(気体)が水滴(液体)になっているということです。
このとき、雲になる空気の塊は自分の体温を下げるために、まわりに熱を放出します。
(この熱を「潜熱(読:せんねつ)」といいます。)
この熱によって、まわりの空気が暖まり、さらに上昇気流が強まり、気圧が下がります。
これが、熱帯低気圧の赤ちゃんです。
③ 積乱雲ができる(熱帯低気圧の成長)
海面からの水蒸気の供給と、雲ができるときの熱( = 潜熱)が続き、上昇気流がさらに強まると、雲が発達し積乱雲ができます。
こうして、熱帯低気圧が発達し、成長していきます。
④ 台風に進化(熱帯低気圧の進化)
海面水温が高いほど、海水がたくさん蒸発し、上昇気流が強まります。
言い換えると、熱帯低気圧のエネルギー源は暖かい海から供給される水蒸気です。
このように、海面水温が高いほど、海水がたくさん蒸発し、低気圧が発達します。
こうして、熱帯低気圧が発達し、中心付近の最大風速が17.2m/s以上になったものを台風といいます。
熱帯低気圧と台風の違いは風速だけ?
その通り!
熱帯低気圧と台風の仕組みは同じものなんだ!
違いは最大風速だけで、17.2m/s未満で熱帯低気圧、17.2m/s以上で台風だよ!
⑤ 熱帯低気圧や台風が温帯低気圧に(熱帯低気圧の晩年)
熱帯で生まれた台風が日本付近に北上してくると、熱帯低気圧や台風内の暖かい空気と周りの冷たい空気がぶつかって前線ができます。
暖かい空気と冷たい空気が混ざり始めると、台風の形が崩れ、温暖前線や寒冷前線ができます。
こうして、台風が温帯低気圧に変わってしまいます。
温帯低気圧に変わったらもう安心していいの?
そうとは限らないんだ!
むしろ台風より風速が大きくなることもあるんだよ!
台風と温帯低気圧は構造が違うだけで、台風が弱まったものが温帯低気圧ではありません。
むしろ、台風より風が強くなることもありえます。
実際に、2004年の台風18号は温帯低気圧に変わったあと再び発達し、札幌では観測史上1位となる最大瞬間風速50.2m/sを観測しています。
台風が温帯低気圧に変わっても油断しないようにするよ!
こうして、温帯低気圧が北上し、閉塞していくことで消滅していきます。
これが熱帯低気圧の一生です。
簡単にまとめるよ
熱帯低気圧とは
熱帯で発生し、前線を持たない低気圧のこと
であり、
暖かい海から供給される水蒸気をエネルギー源として発達する低気圧のこと
であり、
中心付近の最大風速が17.2m/sになると台風に変わる低気圧のこと
です。
なんとなく分かったかな?
読んでくれてありがとう!
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