【第59回】2023年1月試験(学科専門試験)問8(前線・温帯低気圧)

第62回_気象予報士試験_解答速報(予告)

問8

日本付近に現れる前線や温帯低気圧について述べた次の文 (a) ~ (d) の正誤について、下記の1〜5の中から正しいものを1つ選べ。

(a)
寒冷前線がある地点を通過する場合、一般にその地点では、風向は時計回りに変化し、気温や露点温度は下降する。

(b)
温暖前線と寒冷前線の間の暖域に寒冷前線と平行に積乱雲の雲列が見られることがあり、これが通過すると寒冷前線が通過した時と似た風向変化をすることがある。

(c)
発達中の温帯低気圧の進行方向後面では、下層への強い寒気の流入に伴って層厚が減少し、500hPa面など中層における等圧面高度が下降する一方、地上の気圧は上昇する。

(d)
一般に、温帯低気圧に閉塞前線が形成され始めたときは、低気圧の一生の中で中心気圧が最も低く、最盛期の段階にあたる。

   





気象業務支援センターによる訂正

問題文は「一般に、温帯低気圧に閉塞前線が形成され始めたときは、低気圧の一生の中で中心気圧が最も低く、最盛期の段階にあたる。」となっており、温帯低気圧の発生から消滅までの一連の過程の1つである最盛期について問う問題です。

一般に、日本付近に現れる温帯低気圧は前線を伴い、南北に熱輸送を行って南北の温度差を解消すると共に、有効位置エネルギーを運動エネルギーに変えて発達します。

低気圧の発生から消滅までの過程は、発生期・発達期・最盛期・衰弱期の4つに分けて説明されることが多く(下図参照)、今回出題している中心気圧が最も低くなる最盛期は、一般に、閉塞前線が現われ始めたとき、すなわち閉塞が始まった段階を含む一定の期間に該当しますので、(d) の記述は正しく、解答例は「⑤すべて正しい」としました。

平成 29 年度予報技術研修テキスト(気象庁) 第 4 章 第 4.3.2 図より

一方、普段の会話で「〇〇し始めたとき」と言った場合、その「とき」とはある程度の期間をとらえている場合だけでなく、その瞬間を示す場合も考えられます。

問題文は、例えば “3時間おきに作成される地上天気図において、初めて閉塞前線が描かれた天気図のその時刻、その瞬間が、中心気圧が最も低くなる最盛期にあたる” と書かれていると読み取られる可能性があり、そう読んだ場合、観測される温帯低気圧の中には閉塞後もある程度の期間、中心気圧が低下する例が一定数存在することから、(d) のみ誤り」という回答もあり得ると判断されます。

以上のように、本問 (d) の文章には、2通りの回答を生み得るやや曖味な表現があったと判断されるため、本問は、5または4を正解として採点処理いたします。

解説
てるるん

解説は順次更新していくから待っててね!
早く解説してほしい問題があったらお問い合わせから依頼してね!

ここに書いてあるよ
¥3,080 (2024/05/08 09:53時点 | Amazon調べ)

書いてある場所:(順次更新予定)


書いてある場所:(順次更新予定)

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、執筆者「terurunnikki@gmail.com」までご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする