問1簡単
気象庁の気象観測ガイドブックに示されている観測機器の設置について述べた次の文 (a) 〜 (c) の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1〜5の中から1つ選べ。
(a) 超音波式積雪計の測定面は、コンクリートや鉄板などを敷かず、自然な状態で水平を確保することが推奨されている。
(b) 風向風速計を建物の屋上に設置する場合は、建物自体による風の乱れが小さくなるように、屋上の端に設置することが推奨されている。
(c) 温度計や湿度計が収容されている通風筒は、風通しの良い日陰に設置することが推奨されている。
本問は、気象庁の気象観測ガイドブックに示されている観測機器の設置環境に関する問題です。
気象観測ガイドブックとは、気象庁が作成している、気象観測を適切に行うための手引きのことです。
本問の解説:(a) について
(問題)超音波式積雪計の測定面は、コンクリートや鉄板などを敷かず、自然な状態で水平を確保することが推奨されている。
→ 答えは 正 です。
積雪計 とは、「積雪の深さ」を測定する測器のことです。
積雪の深さ とは、自然に降り積もって地面をおおっている雪などの固形降水の深さのことです。
似た言葉に 降雪の深さ がありますが、これは、ある時間内に地表に降り積もった雪などの固形降水の深さで、その時間内に新しく積もった分を指します。
気象庁で使われている 超音波式積雪計 は、2〜4 m の高さに送受波器を設置し、超音波が雪面で反射して戻ってくるまでの時間から、送受波器から雪面までの距離を測ることで「積雪の深さ」を求めています。
簡単にいうと、雪の上に立てた送受波器から雪の表面までの距離を測り、雪がないときの地面までの距離との差をとって、雪の深さを出す仕組みです。

気象観測ガイドブックでは、積雪計の設置環境について次の9つが示されています。
① 建物や樹木からはできるだけ離して設置
周辺に高い樹木や建物があると風に乱れが生じ、積雪の状況に影響を与えます。
周辺の高い樹木や建物からはそれらの高さの2〜4倍以上(不可能な場合は10 m以上)の距離を離して設置します。
② 屋上への設置は注意が必要
屋上への設置は避けてください。
建物の屋上周辺部では建物の影響で吹き上げるような風が発生します。
このとき雪が吹き飛んでしまうため屋上の積雪は均一になりません。
また、暖房の熱で屋上の雪が融けて実際の積雪よりも少なく測定される恐れがあります。

③設置時には、積雪の測定面が水平で平坦であることを確認します。
④測定面はコンクリートや鉄板などを敷かず自然な状態にします。
⑤測定面に人や動物が侵入しないようにします。
⑥超音波式の場合は音速補正のための温度センサが雪に埋もれないようにします。
⑦送受波器を取り付ける支柱が風で振動しないようにします。
⑧支柱による風の乱れの影響を小さくするために送受波器と支柱を結ぶ線と主風向(観測地点の降雪時に最も一般的な風向)が直角になるようにします。
⑨光電式のものはレーザー光が目に入ると危険な場合もあるため、注意書きや警告のラベルが必要です。

コンクリートや鉄板は、日射を受けると周囲の地面よりも高温になります。
そのため、その上に積もった雪は自然な地面の上よりも早く融けてしまい、その場所の本来の積雪の深さを測れなくなります。
したがって、超音波式積雪計の測定面は、コンクリートや鉄板などを敷かず、自然な状態で水平を確保することが推奨されていますので、答えは 正 となります。
本問の解説:(b) について
(問題)風向風速計を建物の屋上に設置する場合は、建物自体による風の乱れが小さくなるように、屋上の端に設置することが推奨されている。
→ 答えは 誤 です。
地上の風を測るための測器は、平らな開けた場所に独立した塔や支柱を建て、地上 10 m の高さに設置することが標準となっています。
しかし、常にこのような理想的な環境に設置できるとは限りません。
気象観測ガイドブックでは、風向風速計を周辺の建物等より高い位置に設置する場合について、次のように示されています。
開けた場所の確保が困難な場合は、地面から測風塔を建てたり屋上に設置台や支柱を設けます。
塔または設置台からは支柱によりさらに 2 m 以上の高い位置に測器を取り付け、風の乱れが観測にできるだけ影響しないようにします。
設置する高さは周辺にある建物の高さ、形状、配置を考慮して決定します。
測風塔では一般的には最も高い建物の 1.3〜1.5 倍以上(屋上に支柱を設置する場合はその高さは建物の高さの 0.35 倍以上)の高さが目安になります。
また、屋上に設置する場合は風の乱れが小さい建物の中心付近に設置します。

建物に風が当たると、風は壁面に沿って吹き上がり、屋上の端の付近ではその影響を強く受けて風が乱れます。
一方、建物の中心付近は端よりも風の乱れが小さいため、屋上に設置するときは端ではなく中心付近に設置するのです。
したがって、風向風速計を建物の屋上に設置する場合は、建物自体による風の乱れが小さくなるように、「屋上の端」ではなく「建物の中心付近」に設置することが推奨されていますので、答えは 誤 となります。
本問の解説:(c) について
(問題)温度計や湿度計が収容されている通風筒は、風通しの良い日陰に設置することが推奨されている。
→ 答えは 誤 です。
通風筒 とは、温度・湿度センサを日射や風雨から守りながら、常に外気を取り入れて気温・湿度を測定するための筒のことです。
気象庁の使用している通風筒は二重の円筒となっており、その間に断熱材を入れて日射や反射光が直接センサに当たらないような構造になっています。
また、上部の電動ファンにより、筒の下から上に向けて常に外気を取り入れています。

気象観測ガイドブックでは、温度計・湿度計の設置に際して考慮すべき事項として、次の3つが示されています。
①最寄りの建物や樹木からその高さの3倍程度の距離を置いて設置する。
②人工の熱源から十分に離す。
③屋上への設置は避ける。

また、気象庁のアメダス観測所は一般的な観測環境として「風通しや日当たりの良い場所」を選んでいます。
通風筒は、それ自体が日射を遮って強制的に外気を取り込む構造になっていますので、設置場所を日陰にする必要はありません。
むしろ、建物などの日陰は、建物からの輻射熱や照り返し、エアコンなどからの排熱の影響を受けるおそれがあり、周辺の地域を代表する気温にはなりません。
したがって、温度計や湿度計が収容されている通風筒は、「風通しの良い日陰」ではなく、建物や樹木から離れた「風通しや日当たりの良い場所」に設置することが推奨されていますので、答えは 誤 となります。
以上より、本問の解答は、(a) 正 (b) 誤 (c) 誤 とする 3 となります。
書いてある場所:ー
書いてある場所:ー
書いてある場所:P40〜47(露場、通風筒、電気式温度計、電気式湿度計、超音波式積雪計)
書いてある場所:P224〜231(地上気象観測要素)
気象観測ガイドブック(気象庁)
書いてある場所:「3.風向風速計」「4.温度計・湿度計」「5.積雪計」
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。
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