【第61回】2024年1月試験(実技2)問3(3)(等相当温位線の集中帯と降水域の位置関係)

実技2の前提条件

次の資料を基に以下の問題に答えよ。ただし、UTC は協定世界時を意味し、問題文中の時刻は特に断らない限り中央標準時(日本時)である。中央標準時は協定世界時に対して9時間進んでいる。なお、解答における字数に関する指示は概ねの目安であり、それより若干多くても少なくてもよい。

XX 年7⽉5⽇から6⽇にかけての⽇本付近における気象の解析と予想に関する以下の問いに答えよ。予想図の初期時刻は、図3、図4は7⽉5⽇9時(00UTC)、図6は7⽉1⽇21時(12UTC)、その他はいずれも7⽉5⽇21時(12UTC)である。

図11はメソモデルによる 950hPa の相当温位・⾵の12時間予想図で対象時刻は6⽇9時、図12は⻑崎県佐世保 (図11に位置を⽰す) の6⽇5時 〜 17時の気象要素の時系列図である。また、図13はメソモデルによる 850hPa の相当温位・⾵と前1時間降⽔量の18時間予想図、図14は解析⾬量図であり、対象時刻はいずれも6⽇15時である。これらと図10を⽤いて、以下の問いに答えよ。

問3(3)

図10、図11を⽤いて、東経129.5°上における「等相当温位線の集中帯」に関する以下の問いに答えよ。この問題では「集中帯」は「等相当温位線の集中帯」を指し、解答においても「等相当温位線の」は省略するものとする。

① 東経129.5°上において、集中帯が 850hPa と 950hPa の間の鉛直⽅向の傾きで地上に到達しているものとして、地上における集中帯の南端の位置を、緯度1°刻みで答えよ。ただし、地上は 1000hPa とし、鉛直⽅向の 1hPa の差は 10m に相当するものとする。

② ①に基づき、東経129.5°上における 20mm 以上の強⾬域と、集中帯との位置関係を、書き出しを含めて 30 字程度で述べよ。ただし、「集中帯」は、地上、950hPa 、850hPa のうち、強⾬域に⽔平距離が最も近い1つだけを⽤い、集中帯の「北端」または「南端」についても⾔及するものとする。

答え
解説

本問は、地上における等相当温位線の集中帯の南端の位置の推定、および降水域と等相当温位集中帯の位置関係を解析する問題です。

本問の解説:① について

(問題)東経129.5°上において、集中帯が 850hPa と 950hPa の間の鉛直⽅向の傾きで地上に到達しているものとして、地上における集中帯の南端の位置を、緯度1°刻みで答えよ。ただし、地上は 1000hPa とし、鉛直⽅向の1hPa の差は 10m に相当するものとする。
(「集中帯」は「等相当温位線の集中帯」を指す。)

→ 答えは 北緯 33 °です。

下図は、図10と図11の東経129.5°上において、等相当温位線の集中帯(以下、集中帯)の周辺を拡大して並べたものです。

矢羽(風の予想)は、0.5°刻みでプロットされていますので、これを目安に集中帯の南端の緯度を推定します。

上図によると、850hPa の集中帯の南端は、33.9 N付近にあり、950hPa の集中帯の南端は、33.3 N付近にあります。

問題文より「地上は 1000hPa とし、鉛直⽅向の1hPa の差は 10m に相当するものとする。」とありますので、850hPa から 950hPa までの 100hPa (1000m) で、緯度が約 0.6°南下していることになります。

つまり、950hPa から 1000hPa(地上)までの 50hPa (500m) で、緯度はさらに約 0.3°南下すると推測できますので、地上における集中帯の南端の位置は、北緯 33.0°となります。

したがって、本問の解答は緯度1°刻みで答えると 北緯 33 °となります。

本問の解説:② について

(問題)①に基づき、東経129.5°上における 20mm 以上の強⾬域と、集中帯との位置関係を、書き出しを含めて 30 字程度で述べよ。ただし、「集中帯」は、地上、950hPa 、850hPa のうち、強⾬域に⽔平距離が最も近い1つだけを⽤い、集中帯の「北端」または「南端」についても⾔及するものとする。
(「集中帯」は「等相当温位線の集中帯」を指し、解答においても「等相当温位線の」は省略するものとする。)

→ 答えは、下記のとおりです。

本問では、東経129.5°上における 20mm 以上の強⾬域と集中帯の位置関係を解析します。

そのために、850hPa、950hPa、地上における集中帯の「北端」または「南端」、および強雨域の緯度を調べておきましょう。

南端は問題 ① で求めたとおりで、下記のとおりです。

・850hPa:33.9 N

・950hPa:33.3 N

・1000hPa (地上):33.0 N

同様に、下図のように北端を求めると、

・850hPa: 34.2 N

・950hPa:33.7 N

・1000hPa (地上) :33.45 N

(850hPa から 950hPa (=1000m) にかけて、34.2 N − 33.7 N = 0.5°南下しているので、950hPa から 1000hPa (=500m) にかけては 0.25°南下すると推測できます。よって、33.7 N − 0.25°= 33.45 N となります。)

であり、強雨域は 33.3 N付近に位置しています。

つまり、集中帯は、

・850hPa:33.9 N 〜 34.2 N

・950hPa:33.3 N 〜 33.7 N

・1000hPa (地上):33.0 N 〜 33.45 N

付近にあり、強雨域(33.3N)に水平距離が最も近いのは 950hPa における集中帯の南端の 33.3 Nとなります。

したがって、本問の解答は下記のようになります。

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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