【第56回】2021年8月試験(学科一般試験)問6(地衡風)

問6

 北緯30°と 北緯45°の2つの地点で、いずれも東向きで風速 100m/s の地衡風が吹いているとする。
 この2つの地点で、水平気圧差が4hPaとなる南北方向の距離をΔY30 、ΔY45 としたとき、ΔY30 、ΔY45 の比 (ΔY30 /ΔY45 ) の値として最も適切なものを、下記の1~5の中から1つ選べ。ただし、2つの地点で大気の密度は等しく、地表の摩擦の影響は無視できるとし、sin30°= 1/2、cos30°= 1.7/2、sin45°= 1/1.4、cos45°= 1/1.4 とする。

   





解説

本問は、緯度による地衡風の変化を求める問題です。

本問の解説

(問題)
 北緯30°と 北緯45°の2つの地点で、いずれも東向きで風速 100m/s の地衡風が吹いているとする。
 この2つの地点で、水平気圧差が4hPaとなる南北方向の距離をΔY30 、ΔY45 としたとき、ΔY30 、ΔY45 の比 (ΔY30 /ΔY45 ) の値として最も適切なものを、下記の1~5の中から1つ選べ。ただし、2つの地点で大気の密度は等しく、地表の摩擦の影響は無視できるとし、sin30°= 1/2、cos30°= 1.7/2、sin45°= 1/1.4、cos45°= 1/1.4 とする。

→ 答えは ΔY30 /ΔY45 ≒ 1.4 です。

地衡風 とは、気圧傾度力コリオリ力が釣り合って吹く風のことであり、中緯度の上層では水平風に対してこの地衡風の関係が十分に成り立っています。

地衡風

気圧傾度力 とは、気圧の差(=気圧傾度によって生じる力のことです。

下図は水平方向の気圧傾度の模式図です。

気圧傾度

等圧線と等圧線の間にある、直方体の空気塊 を考えます。

このとき、低気圧側の気圧を p1 、高気圧側の気圧を p2 としたとき、その気圧差は Δp=p2 – p1 となります。

これを、p1 と p2 の等圧線間の距離 ΔY で割ったものを、気圧傾度 といい、

と表されます。

この気圧傾度によって生じる力気圧傾度力 といい、高気圧側低気圧側 へと力がはたらきます。

また、空気の密度を ρ とすると、水平方向の気圧傾度力は

と表されます。

てるるん

気圧傾度力の式にマイナス「ー」がついているのは、高気圧側から低気圧側に向かって風が吹いていることを示すための、数式処理上のものだよ!

コリオリ力 とは、地球の自転によって生じるみかけの力のことです。

単位質量の空気塊に働くコリオリ力は、風速を V 、コリオリパラメータを f とすると、

コリオリ力 = fV ・・・(1)

と表されます。ここで、f(コリオリ・パラメータ)は緯度 φ の関数であり、

f = 2Ωsinφ ・・・(2)

と表されます。(Ω:地球の自転角速度(Ω = 2π/1日 = 7.292 × 10-5 s-1))

したがって、(1)式、(2)式より、コリオリ力は

コリオリ力 = 2ΩVsinφ

となります。

地衡風は、気圧傾度力とコリオリ力が釣り合って吹くので、

であり、両辺にΔYを掛けて、2ΩVsinφで割ると、Δp 間(= p1 と p2 の等圧線間)の距離 ΔY は

となります。

では、本文の ΔY30 と ΔY45 を考えてみましょう。

ΔY30 ΔY45 は、それぞれ北緯30°と北緯45°の2つの地点で、水平気圧差が4hPaとなる南北方向の距離のことです。

図示すると、下図のようになります。

56th_ippan_q6_地衡風

ここで (3)式 を用いると、 ΔY30 と ΔY45 はそれぞれ下記のように表すことができます。

本問の条件より、北緯30°と北緯45°で、大気の密度は等しく、風速や水平気圧差もすべて等しいので、ΔY30 と ΔY45 の比 (ΔY30 /ΔY45 ) は

56th_ippan_q6

となります。

以上より、本問の解答は、ΔY30 /ΔY45 ≒ 1.4 とする となります。

ここに書いてあるよ
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書いてある場所:P132〜145(コリオリ力、気圧傾度力、地衡風)


書いてある場所:P309〜310(気圧傾度力)、P313〜315(コリオリ力)、P316〜320(地衡風)


書いてある場所:P198〜207(気圧傾度力)、P208〜215(コリオリ力)、P216〜225(地衡風)


書いてある場所:P95〜97(気圧傾度力、コリオリ力、地衡風)


書いてある場所:P164〜169(コリオリ力、気圧傾度力)、P171〜177(地衡風)

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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