【第63回】2025年1月試験(学科一般試験)問4(霧)

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問4

霧について述べた次の文 (a) ~ (c) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

(a) 移流霧は、冷たい空気が移動して暖かい水面に接して生じる。

(b) 放射霧は、晴れて風の弱い夜間などに地表面が放射冷却によって冷え、地表面付近の水蒸気を含んだ空気が冷却されることによって生じる。

(c) 上昇霧(滑昇霧)は、山腹などの斜面に沿って空気が上昇する際に断熱膨張によって気温が露点温度以下まで下がって生じる。

   





解説

本問は、霧に関する問題です。

本問の解説:(a) について

(問題)移流霧は、冷たい空気が移動して暖かい水面に接して生じる。

→ 答えは です。

移流霧 とは、暖かく湿った空気が冷たい地表面や海面の上に流れ込むことで発生する霧です。

移流霧

例えば、春から夏にかけて南から暖かく湿った空気が三陸沖や釧路沖などの冷たい海域に流れ込むと、空気の下層が海面によって冷やされ、空気中の水蒸気が飽和して霧が発生します。

これは、空気の移動(移流)によって発生するため 移流霧 と呼ばれます。

一方、問題文の「冷たい空気が移動して暖かい水面に接して生じる」霧は、移流霧ではなく 蒸気霧(蒸発霧) の説明です。

蒸気霧(蒸発霧)は、冬の日本海などでよく見られます。

したがって、移流霧は「冷たい空気が移動して暖かい水面に接して生じる霧」ではなく、「暖かい空気が移動して冷たい水面に接して生じる霧」ですので、答えは となります。

本問の解説:(b) について

(問題)放射霧は、晴れて風の弱い夜間などに地表面が放射冷却によって冷え、地表面付近の水蒸気を含んだ空気が冷却されることによって生じる。

→ 答えは です。

放射霧 とは、晴れて風の弱い夜間に地表面が放射冷却によって冷やされることで発生する霧のことです。

放射霧

夜間、雲が少なく風が弱いと、地表の熱は効率よく宇宙空間へ放射され、地面の温度が急激に下がります。

その結果、地表付近の空気も冷やされていきます。

この空気が十分な水蒸気を含んでいる場合、冷却によって空気中の水蒸気が飽和し、水滴となって霧が発生します。

特に盆地や谷など冷気がたまりやすい地形でよく見られ、明け方にかけて発生しやすいのが特徴です。

太陽が昇って地表が再び温められると、放射霧は消えていきます。

このように、晴天・弱風・夜間の放射冷却による地表付近の空気の冷却と水蒸気の存在が、放射霧発生の主な条件です。

したがって、放射霧は、晴れて風の弱い夜間などに地表面が放射冷却によって冷え、地表面付近の水蒸気を含んだ空気が冷却されることによって生じますので、答えは となります。

本問の解説:(c) について

(問題)上昇霧(滑昇霧)は、山腹などの斜面に沿って空気が上昇する際に断熱膨張によって気温が露点温度以下まで下がって生じる。

→ 答えは です。

上昇霧(滑昇霧)とは、山腹や斜面に沿って湿った空気が上昇する際に発生する霧のことです。

上昇霧(滑昇霧)

具体的には、空気が斜面を上昇することで気圧が低くなり、空気塊が断熱膨張して冷やされることによって発生します。

特に、湿った空気が持続的に山の斜面に沿って運ばれる場合に発生しやすく、山地や丘陵地でよく見られます。

遠くから見ると、山の中腹や山頂付近に雲がかかっているように見えることもあります。

したがって、上昇霧(滑昇霧)は、山腹などの斜面に沿って空気が上昇する際に断熱膨張によって気温が露点温度以下まで下がって生じますので、答えは となります。

以上より、本問の解答は、(a) (b) (c) とする となります。

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書いてある場所:P102〜104(霧)


書いてある場所:P222〜227(霧の種類と成因)


書いてある場所:P157〜160(霧について)


書いてある場所:P74(霧の種類)

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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