問2
⾼度 1000m にある、気圧 900hPa、温度 18℃ の⽔蒸気で飽和した空気塊を、気圧 1013hPa の⾼度0m まで、周囲の空気と混合することなく断熱的に下降させたときの相対湿度の値に最も近いものを、下記の1〜5の中から1つ選べ。ただし、空気塊は⽔滴を含んでおらず、⽔蒸気の混合⽐ w は⽔蒸気圧 e 、気圧 p を⽤いて w = 0.622e/p で近似できるものとする。また、乾燥断熱減率は 10℃/km、湿潤断熱減率は6℃/km とし、温度と飽和⽔蒸気圧の関係は次の表のとおりとする。

本問は、空気塊を断熱的に下降させたときの相対湿度を計算する問題です。
(問題)⾼度 1000m にある、気圧 900hPa、温度 18℃ の⽔蒸気で飽和した空気塊を、気圧 1013hPa の⾼度0m まで、周囲の空気と混合することなく断熱的に下降させたときの相対湿度の値を求めよ。ただし、空気塊は⽔滴を含んでおらず、⽔蒸気の混合⽐ w は⽔蒸気圧 e 、気圧 p を⽤いて w = 0.622e/p で近似できるものとする。また、乾燥断熱減率は 10℃/km、湿潤断熱減率は6℃/km とし、温度と飽和⽔蒸気圧の関係は次の表のとおりとする。

→ 答えは 62% です。
本問は以下の手順で考えます。
① 初期状態(標高 1,000 m)の空気塊の水蒸気圧を求める。
② 下降後(標高0m)の空気塊の温度を求める。
③ 下降後(標高0m)の空気塊の水蒸気圧を求める。
④ 下降後(標高0m)の空気塊の相対湿度を求める。

① 初期状態(標高 1,000 m)の空気塊の水蒸気圧 e1000 を求める。
まずは、初期状態(標高 1,000 m、気圧 900 hPa、温度 18 ℃)における空気塊の 水蒸気圧 e1000 を求めます。

問題文より、空気塊は水蒸気で飽和していますので、初期状態での水蒸気圧は飽和水蒸気圧と等しくなります。
飽和水蒸気圧 とは、ある温度の空気塊が、飽和状態(それ以上水蒸気を含めなくなる限界の状態)になったときの水蒸気の圧力のことです。
初期状態での温度は 18 ℃ なので、下表を用いると、対応する飽和水蒸気圧は 21 hPa だと分かります。

したがって、初期状態(標高 1,000 m)における空気塊の水蒸気圧 e1000 は 21 [hPa] となります。
② 下降後(標高0m)の空気塊の温度 T0 を求める。
次に、下降後(標高0m、気圧 1,013 hPa)における空気塊の 温度 T0 を求めます。

問題文より、空気塊は水滴を含まず(凝結せず)、周囲の空気とも混合せず、断熱的に下降します。
つまり、初期状態ではちょうど飽和している状態で、水滴は存在しないため、下降を始めるとすぐに未飽和となります。
このため、下降中の気温変化は乾燥断熱減率(10 ℃/km)に従います。
初期状態(標高 1,000 m)での気温は 18 ℃ であり、ここから 1,000 m 下降しますので、下降後(標高0m)の空気塊の温度 T0 は
T0 = 18 [℃] +( 10 [℃/km] × 1,000 [m] ) = 28 [℃]
となります。
③ 下降後(標高0m)の空気塊の水蒸気圧 e0 を求める。
次に、下降後(標高0m、気圧 1,013 hPa、温度28℃)の 水蒸気圧 e0 を求めます。

問題文より、空気塊は水滴を含まず(凝結せず)、周囲の空気とも混合しません。
つまり、空気塊に含まれる水蒸気量は変化しないので、混合比は保存されます(=一定となります)。
混合比 とは、空気塊にどれだけの水蒸気が含まれているかを示す指標で、湿潤空気に含まれる、水蒸気の質量と乾燥空気の質量の比で表されます。

問題文より、⽔蒸気の混合⽐ w は⽔蒸気圧 e 、気圧 p を⽤いて w = 0.622e/p で近似されます。
これを用いると、初期状態(標高 1,000 m、気圧 900 hPa、温度 18 ℃、水蒸気圧 21 hPa)における 混合比 w1000 は、以下のようになります。
w1000 = 0.622×21 [hPa] /900 [hPa]
また、下降後(標高0m、気圧 1,013 hPa、温度28℃、水蒸気圧 e0 )における 混合比 w0 は、以下のようになります。
w0 = 0.622×e0 [hPa] /1013 [hPa]
混合比 w1000 と w0 が保存されるので、
0.622×21/900 = 0.622×e0/1013
e0 = 23.6 [hPa]
となります。
④ 下降後(標高0m)の空気塊の相対湿度 RH0 を求める。
最後に、下降後(標高0m、気圧 1,013 hPa、温度 28 ℃、水蒸気圧 23.6 hPa)の空気塊の 相対湿度 RH0 を求めます。

下降後(標高0m)の空気塊の温度は 28 ℃ ですので、下降後の飽和水蒸気圧は下表より 38 [hPa] となります。

また、相対湿度は、実際の水蒸気圧と飽和水蒸気圧を用いて
相対湿度 = ( 実際の水蒸気圧 / 飽和水蒸気圧 ) × 100
で求めることができます。
なぜなら、相対湿度とは、「空気塊がどれくらい水蒸気で満たされているか」を表す物理量であるためです。
つまり、空気塊が最大限含むことができる水蒸気量(飽和水蒸気圧)のうち、実際に含まれている水蒸気量(実際の水蒸気圧)の割合を、百分率で表すことで求めることができます。
したがって、下降後(標高0m、気圧 1,013 hPa、温度 28 ℃、実際の水蒸気圧 23.6 hPa、飽和水蒸気圧 38 hPa)の空気塊の 相対湿度 RH0 は
RH0 = 23.6/38×100 ≒ 62.11 [%]
となります。
以上より、本問の解答は、62% とする 2 となります。
書いてある場所:P53(断熱変化)、P58(水蒸気圧、飽和水蒸気圧)、P60(相対湿度)、P61(混合比)
書いてある場所:P81〜85(乾燥断熱変化)、P118〜121(水蒸気圧、飽和水蒸気圧)、126〜131(相対湿度)
書いてある場所:P60〜65(断熱変化)、P94(水蒸気圧、飽和水蒸気圧)、P97〜98(相対湿度、混合比)
書いてある場所:P31〜35(水蒸気圧、飽和水蒸気圧)、P37〜38(相対湿度)、P41〜42(断熱変化)
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
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