【第64回】2025年8月試験(学科専門試験)問11(積乱雲)

問11

⽇本付近で発⽣する積乱雲について述べた次の⽂ (a) 〜 (d) の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1〜5の中から1つ選べ。

(a) 積乱雲の成⻑期において雲が上⽅に発達していくとき、雲の内部は上昇流となっており、雲の中の温度はまわりより⾼くなっている

(b) 夏季に地表付近が⾼温となることにより発達する積乱雲では、降⽔過程に氷粒⼦が関わらない「暖かい⾬」であることが多い

(c) 積乱雲からの降⽔粒⼦は落下する時に周囲の空気を引きずり降ろし、下降気流が⽣じる。落下途中に乾燥した気層があると降⽔粒⼦は蒸発し、空気が冷えて重くなり下向きの⼒が働くため、下降気流はより強化される

(d) マルチセル型あるいはスーパーセル型と呼ばれる積乱雲が数時間にわたって維持されるためには、環境場の⾵の鉛直シアーの存在が重要である

   





解説

本問は、日本付近で発生する積乱雲に関する問題です。

積乱雲は、大雨・雷・突風・竜巻といった激しい気象現象をもたらす雲で、メソスケールの気象現象を語るうえで欠かせない存在です。

本問では、その積乱雲について「雲が発達するメカニズム」「雨を降らせる仕組み」「強い下降流が生まれる理由」「長時間維持される条件」という、積乱雲のライフサイクル全体にわたる4つの論点が問われています。

それぞれの選択肢で問われている内容を、一つひとつ丁寧に確認していきましょう。

予備知識:積乱雲のライフサイクル

積乱雲は、強い上昇気流によって鉛直方向に著しく発達した雲で、その高さは10kmを超えて、ときには成層圏にまで達することがあります。

水平方向の広がりは数km〜十数kmと比較的小さく、一つの積乱雲がもたらす降水現象は、30分〜1時間程度の局地的な範囲にとどまります。

積乱雲は、外から見ると1個の大きな雲のかたまりに見えますが、その内部には複数の積乱雲(降水セル)が共存していることがあります。

個々の降水セルは、次の3つの段階を経て一生を終えるのが一般的です。

  • 成長期(発達期):雲が上方へ伸びていく段階。雲の中はすべて上昇流
  • 成熟期(最盛期):雲頂が対流圏上部に達し、強い雨が地上に降る段階。上昇流と下降流が共存
  • 減衰期(消滅期):上昇流が弱まり、下降流が支配的になって雲が衰える段階。
積乱雲の一生
画像出典:気象予報士アカデミー「マルチセル型を構成する積乱雲/バックビルディングとの違い

それでは、選択肢を1つずつ見ていきましょう。

本問の解説:(a) について

(問題)積乱雲の成長期において雲が上方に発達していくとき、雲の内部は上昇流となっており、「雲の中の温度はまわりより高くなっている」。

→ 答えは です。

成長期の積乱雲では、雲の内部全体が上昇流になっています。

このとき、雲の中ではなにが起こっているのでしょうか。

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