問12
ある民間気象会社が「日最大1時間降水量が 20mm 以上となる強い雨」の発生を予測するための指標(日最大1時間降水量と正の相関がある)を作成した。図は、夏のある 10 日間における、翌日を対象とした指標の予測値と実況(●:対象となる強い雨が発生、×:対象となる強い雨の発生なし)の経過を示したものである。この図について述べた次の文章の下線部 (a) ~ (c) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。ただし、空振り率、見逃し率は、全予報数に対する割合とする。
図に示された 10 日間について、日最大1時間降水量が 20mm 以上となる強い雨が発生するか・しないかを、翌日を対象とした指標の予測値を判定に用いて予想することとし、判定基準を変更した場合の予想精度の変化について調べた。判定基準を指標の予測値 50 以上から 40 以上に変更した場合、変更前と比べて、スレットスコアは (a) 0.125 低くなり、空振り率は (b) 0.2 高くなる。また、見逃し率を下げることを期待するならば、判定基準を (c) 高くすればよい。

本問は、予報精度の評価(スレットスコア・空振り率・見逃し率)に関する問題です。
予備知識:分割表と検証指標の定義
予報の精度を評価するときは、下図のように「予報あり/予報なし」×「実況あり/実況なし」 の4つの組み合わせで事例を分類した分割表を作ります。
| 分割表 | 予報 | 計 | ||
|---|---|---|---|---|
| あり | なし | |||
| 実況 | あり | A(適中) | B(見逃し) | A+B |
| なし | C(空振り) | D(適中) | C+D | |
| 計 | A+C | B+D | N(全事例数) | |
この A・B・C・D を使うと、本問で問われている3つの指標は次のように定義されます。
スレットスコア
スレットスコア = A / (A + B + C)
スレットスコアは、「現象あり」に着目した適中率です。
適中率 (A+D)/N とよく似ていますが、スレットスコアは分子からも分母からも D(実況「なし」かつ予報「なし」)を除いているのが大きな特徴で、これにより出現頻度の低い現象(強雨・降雪・雷など)の予報精度を、「なし」のケースに引きずられずに評価できます。
てるるん例えば1年に数回しか起こらない現象を「いつも『なし』」と予報し続けると、全体の適中率((A+D)/N)はとても高くなってしまうんだよ!でも、それでは予報としての価値がほとんどないんだよね。



だからスレットスコアは「なし×なし」を分母から外して、「あり」を当てる力だけを評価しているんだね!
空振り率
空振り率 = C / N
空振り率は、全予報数のうち「予報あり・実況なし」の割合です。
「あり」と予報したのに実際には起こらなかったケースが、どれくらいの頻度であるかを示します。
見逃し率
見逃し率 = B / N
見逃し率は、全予報数のうち「予報なし・実況あり」の割合です。
「なし」と予報したのに実際には起こってしまった、いわば予報を出し損ねたケースの割合です。
なお、空振り率や見逃し率の分母は、全事例数 N とする定義と、「予報あり」の数や「実況あり」の数とする定義があります。
本問の問題文には「空振り率、見逃し率は、全予報数に対する割合とする。」というただし書きが添えられていますので、本問では分母を N(全事例数)とする定義を使います。



定義の分母が違うと数値も変わってしまうから、問題文のただし書きは必ず確認するんだよ!
本問の分割表を作ってみよう
下図は、夏のある 10 日間における、翌日を対象とした「日最大1時間降水量が 20mm 以上となる強い雨」の発生を予測するための指標(日最大1時間降水量と正の相関がある)の予測値と実況(●:対象となる強い雨が発生、×:対象となる強い雨の発生なし)の経過を示したものです。


下表は、図から読み取った 10 日間の指標の予測値と実況をまとめたものです。
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