問13
下の表は、ある地域における 30 ⽇間の、翌⽇の雷の有無に関する予報と、それに対応する実況の分割表である。この表に基づく予報精度の評価について述べた次の⽂章の空欄 (a) 〜 (c) に⼊る語句または数値の組み合わせとして最も適切なものを、下記の1〜5の中から1つ選べ。ただし、適中率、空振り率は全予報数に対する割合とする。
雷の有無に関する予報の適中率をこの分割表に基づいて評価すると、その値は ( a ) である。⼀⽅、この分割表に基づく雷ありの予報を ( b ) で評価すると、その値は 0.25 である。
予報精度の評価には、対象とする現象の特性に適合した指標を使うことが重要であり、雷のような ( c ) 現象の評価⽅法には適中率よりも ( b ) が適している。

本問は、予報精度の評価に関する問題です。
本問の解説:(a) について
(問題)雷の有無に関する予報の適中率をこの分割表に基づいて評価すると、その値は ( a ) である。(ただし、適中率は全予報数に対する割合とする。)

→ 答えは 0.80 です。
予報の適中率 とは、全予報数に対する「予報あり」で「実況あり」の場合と、「予報なし」で「実況なし」の場合の合計数の割合のことです。
本問で言うと、
予報、実況ともに「雷あり」= 2 と、予報、実況ともに「雷なし」= 22 の和を、全予報数= 30 で割れば求めることができます。
したがって、
雷の有無に関する予報の適中率 = (2+22) / 30 = 0.80
となりますので、答えは 0.80 となります。
本問の解説:(b) について
(問題)この分割表に基づく雷ありの予報を ( b ) で評価すると、その値は 0.25 である。

→ 答えは スレットスコア です。
本問の選択肢は、空振り率、バイアススコア、スレットスコアの3つですので、これらをそれぞれ計算してみます。
空振り率 とは、全予報回数に対する「予報あり」で「実況なし」の事例数の割合のことです。
本問で言うと、予報で「雷あり」、実況で「雷なし」= 4 を、全予報数= 30 で割れば求めることができます。
つまり、
「雷あり」予報の空振り率 = 4 / 30 = 0.1333…
となります。
バイアススコア とは、「実況あり」の事例数に対する「予報あり」の事例数の割合のことです。
本問で言うと、予報で「雷あり」= 2+4 を、実況で「雷あり」= 2+2 で割れば求めることができます。
つまり、
「雷あり」予報のバイアススコア = 2+4 / 2+2 = 1.5
となります。
スレットスコア とは、予報または実況で「現象あり」の事例数に対する「予報あり」かつ「実況あり」となった事例数の割合のことです。
本問で言うと、予報で「雷あり」かつ実況で「雷あり」= 2 を、予報または実況で「雷あり」= 2+2+4 で割れば求めることができます。
つまり、
「雷あり」予報のスレットスコア = 2 / 2+2+4 = 0.25
となります。
したがって、答えが0.25となるのは、スレットスコア となります。
本問の解説:(c) について
(問題)予報精度の評価には、対象とする現象の特性に適合した指標を使うことが重要であり、雷のような ( c ) 現象の評価⽅法には適中率よりもスレットスコアが適している。

→ 答えは 発生頻度が低い です。
スレットスコア は、現象の発生頻度が少なく、発生を予想することの意味が大きい現象(例:雷、太平洋側の降水など)の予報精度を評価する指標です。
スレットスコアは下式で定義され、発生頻度が少ない現象をどれくらい正しく予報できたかを評価するために、事例数が多い「予報なし・実況なし」を除いた適中率で求めます。


スレットスコアは0〜1までの値をとり、1に近いほど予報精度が良く、0に近いほど予報精度が悪い、と評価されます。
したがって、予報精度の評価には、対象とする現象の特性に適合した指標を使うことが重要であり、雷のような発生頻度が低い現象の評価⽅法には適中率よりもスレットスコアが適していますので、答えは 発生頻度が低い となります。
以上より、本問の解答は、(a) 0.80 (b) スレットスコア (c) 発生頻度が低い とする 5 となります。
書いてある場所:ー
書いてある場所:ー
書いてある場所:P304〜320(予報精度評価)
書いてある場所:P452〜463(予報精度の評価)
書いてある場所:P186〜192(予報精度評価の種類)
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
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