【第63回】2025年1月試験(学科専門試験)問1(大気現象の定義)

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問1

気象庁が地上気象観測において定義している⼤気現象について述べた次の⽂ (a) 〜 (d) の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1〜5の中から 1 つ選べ。

(a) 霧やもやは、微⼩な⽔滴や湿った微粒⼦が⼤気中に浮遊する現象で、⽔平視程が1km未満の場合が霧、1km以上10km未満の場合がもやである。

(b) 地ふぶきは、雪が降ると同時に、積もった雪が地上⾼く吹き上げられる現象である。

(c) 過冷却の⾬滴が降ってきて地⾯や地物に当たるとすぐに凍るものを凍⾬という。

(d) 地中に含まれる⽔分が氷の結晶となって地⾯に析出したものを、という。

   





解説

本問は、地上気象観測において定義している⼤気現象に関する問題です。

本問の解説:(a) について

(問題)霧やもやは、微⼩な⽔滴や湿った微粒⼦が⼤気中に浮遊する現象で、⽔平視程が1km未満の場合が霧、1km以上10km未満の場合がもやである。

→ 答えは です。

もや は、いずれも大気中に浮遊する微小な水滴や湿ったエアロゾル(微粒子)によって視程が悪くなる現象です。

この2つは見た目はよく似ていますが、定義は視程(見通し距離)によって明確に区別されています。

  • :水平視程が1km未満
  • もや:水平視程が1km以上 10km未満

また、どちらも相対湿度が高い環境で発生しやすく、霧は視程が特に悪いため、航空機や車両の運行に大きな影響を与える気象現象として重要視されます。

したがって、霧やもやは、微⼩な⽔滴や湿った微粒⼦が⼤気中に浮遊する現象で、⽔平視程が1km未満の場合が霧、1km以上10km未満の場合がもやですので、答えは となります。

本問の解説:(b) について

(問題)地ふぶきは、雪が降ると同時に、積もった雪が地上⾼く吹き上げられる現象である。

→ 答えは です。

地ふぶき とは、雪が降っていないにもかかわらず、地面に積もった雪が強風によって巻き上げられ、視界が悪くなる現象のことです。

特に、冬の晴天時や寒気の南下に伴って風が強まるときに発生しやすく、北海道の内陸部など風の通りやすい地域では、地ふぶきによってホワイトアウトが起こり、交通障害を引き起こすこともあります。

一方、雪が降ると同時に、積もった雪が地上⾼く吹き上げられる現象ふぶき と呼ばれます。

したがって、地ふぶきとは「雪が降ると同時に」ではなく「雪が降っていない時に」、積もった雪が地上⾼く吹き上げられる現象ですので、答えは となります。

本問の解説:(c) について

(問題)過冷却の⾬滴が降ってきて地⾯や地物に当たるとすぐに凍るものを凍⾬という。

→ 答えは です。

過冷却の雨滴 とは、気温が0℃未満にもかかわらず液体のままで存在している雨粒のことです。

この過冷却の雨滴が降ってきて、地面や電線、木の枝などの地物に当たると、衝撃をきっかけに瞬時に凍り付き、氷となって付着します。この現象は 雨氷 (うひょう) と呼ばれ、着氷による被害を引き起こすことがあります。

雨氷
出典:Wikipedia「雨氷

一方、凍雨 (とうう) とは、上空で一度雪や雨が融けた後、再び寒気層を通過する際に冷却されて氷の粒となり、固体のまま地表に到達する現象のことです。

凍雨のでき方
出典:ウェザーニュース「北海道で「凍雨」降ったか 「雨氷」にも注意

このときの氷の粒は、透明で比較的小さく、見た目には雨粒のようにも見えますが、すでに凍結しており、地面に落下してもすぐには砕けず、滑りやすい路面を作るため注意が必要です。

あられとの違いとしては、あられは発達した積乱雲などの対流によってできる不透明な氷粒であるのに対し、凍雨は層状の雲から降る透明な氷の粒である点が挙げられます。

凍雨
出典:ウェザーニュース「天気記号・大気現象記号

したがって、過冷却の⾬滴が降ってきて地⾯や地物に当たるとすぐに凍るものは「凍⾬」ではなく「雨氷」ですので、答えは となります。

本問の解説:(d) について

(問題)地中に含まれる⽔分が氷の結晶となって地⾯に析出したものを、という。

→ 答えは です。

とは、空気中の水蒸気が昇華して、地面や建物、植物の葉などに付着する現象のことです。

霜
出典:毎日新聞「霜はなぜ降りる? 「放射冷却」で水蒸気が氷に

一方、霜柱 (しもばしら) とは、冬季の地表温度が氷点下になった時に、地下の水分が毛細管現象で地表にしみ出し、そこで凍って細い氷の柱状に成長する現象のことです。

霜柱
出典:Wikipedia「霜柱

霜柱の具体的なメカニズムは以下のとおりです。

① 気温が氷点下になると、適度に湿った土の表面が地表から凍ります。

② 凍った土の表面をめがけて地中の水分が土の粒の間の細い隙間を通って地表まで移動してきます。

③ 土の表面に到達した水分は外気に晒されて凍り、それを繰り返すことで古い氷が押し上げられて霜柱が成長します。

なお、このように細い空間を重力に関係なく液体が移動していく現象を 毛細管現象 といいます。

霜柱
画像出典:ウェザーニュース「冬の風物詩、霜柱にまつわる豆知識

つまり、空気中の水蒸気が凍ったもの で、土の中の水分が凍ったもの霜柱 です。

霜と霜柱の違いについては、以下の動画でもわかりやすく解説されていますので、参考にしてみてください。

出典:ウェザーニュース「【冬の現象】霜と霜柱の違いとは?

したがって、地中に含まれる⽔分が氷の結晶となって地⾯に析出したものは「霜」ではなく「霜柱」ですので、答えは となります。

以上より、本問の解答は、(a) (b) (c) (d) とする となります。

ここに書いてあるよ

書いてある場所:P32〜36(用語の定義)

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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