気象庁が発表している降⽔短時間予報について述べた次の⽂ (a) 〜 (c) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1〜5の中から1つ選べ。
(a) 降⽔短時間予報では、6時間先までは1km 四⽅の細かさで、7時間先から 15 時間先までは5km 四⽅の細かさで、1時間毎の前1時間降⽔量を予測している。
(b) 降⽔短時間予報の6時間先までの予測では、解析⾬量により得られた降⽔分布の移動に基づいて降⽔を予測しており、降⽔の強弱の変化は計算していない。
(c) 降⽔短時間予報の7時間先から 15 時間先までの予測では、メソモデルの予測結果だけでなく、局地モデルや全球モデルの予測結果を組み合わせて予測している。
本問は、気象庁が発表している降水短時間予報に関する問題です。
降水短時間予報は、過去問でも繰り返し問われている頻出テーマで、特に「6時間先まで」と「7時間先から15時間先まで」とで予測手法や発表間隔、格子間隔が異なる点がよく問われます。
それぞれの違いをきちんと整理しておきましょう。
予備知識:降水短時間予報の仕組み
降水短時間予報 とは、解析雨量のデータを基にして降水域の分布や降水強度などの情報を15時間先まで予報するものです。
簡単にいうと、これから先15時間でどこにどれくらい雨が降るかを見るための予報です。
降水短時間予報は、初期時刻から6時間先までと、7時間先から15時間先までとで、発表間隔・格子間隔・予測手法が異なります。
下表は、降水短時間予報の6時間先までと7時間先から15時間先までの違いをまとめたものです。
| 項目 | 6時間先まで | 7時間先から15時間先まで |
|---|---|---|
| 発表間隔 | 10分間隔 | 1時間間隔 |
| 格子間隔 | 1km四方 | 5km四方 |
| 予測対象 | 1時間ごとの前1時間降水量 | 1時間ごとの前1時間降水量 |
| 予測手法 | 解析雨量を用いた降水域の移動 +予報期間後半は数値予報も加味 | メソモデル(MSM)と局地モデル(LFM)の 統計的な組み合わせ |

てるるん6時間先までは細かく(1km四方)、7時間先からは少し粗く(5km四方)予報するんだよ!予測する時間が先になるほど、降水域の位置や強さの予測のずれが大きくなるから、後半は格子間隔も粗くしているんだよ!



先の時間ほど予測の解像度が下がるのは、なんとなくイメージしやすいね!
本問の解説:(a) について
(問題)降⽔短時間予報では、6時間先までは1km 四⽅の細かさで、7時間先から 15 時間先までは5km 四⽅の細かさで、1時間毎の前1時間降⽔量を予測している。
→ 答えは 正 です。
先ほどの表で整理したとおり、降水短時間予報では 前半(6時間先まで)と後半(7時間先から15時間先まで) で、格子間隔が異なります。
具体的には、6時間先までは 1km四方、7時間先から15時間先までは 5km四方 の細かさで、いずれも「1時間ごとの前1時間降水量」を予測しています。
ちなみに、降水短時間予報は、もともと「1〜6時間先まで」を予報するものでしたが、2018年(平成30年)6月から、新しいスーパーコンピュータの運用開始に伴って「15時間先まで」に延長されました。
これにより、例えば夕方の時点で発表された降水短時間予報を見れば、夜間から翌日の明け方までの降水の見通しが分かるようになり、暗くなる前に早めの防災対応ができるようになりました。
したがって、降⽔短時間予報では、6時間先までは1km 四⽅の細かさで、7時間先から 15 時間先までは5km 四⽅の細かさで、1時間毎の前1時間降⽔量を予測していますので、答えは 正 となります。
本問の解説:(b) について
(問題)降⽔短時間予報の6時間先までの予測では、解析⾬量により得られた降⽔分布の移動に基づいて降⽔を予測しており、降⽔の強弱の変化は計算していない。
→ 答えは 誤 です。
降⽔短時間予報の6時間先までの予測では、解析⾬量により得られた降⽔分布の移動に基づいて降⽔を予測しています。
ただし、それだけではなく、以下の要素も合わせて考慮・計算されています。
- 地形の効果:山地での降水の強化など、地形に伴う降水の変化
- 直前の降水の変化:直前までの降水の発達・衰弱の傾向
- 数値予報による降水予測:予報期間後半には、降水域の位置や強さのずれが大きくなるため、数値予報(MSM・LFM)の結果も加味
これにより、降⽔短時間予報の6時間先までの予測では、降水域の単純な移動だけでなく、地形の効果や直前の降水の変化に基づく、降水の強弱の変化(発達・衰弱)も計算できるようになっています。





降水域をただ平行移動させているだけだと、雨雲がどんどん発達したり消えたりする状況には対応できないもんね・・・



そのとおり!実際の雨雲は、地形にぶつかったり、寒気の影響を受けたりして強弱が変化するから、降水の強弱の変化もちゃんと計算に織り込まれているんだよ!
したがって、降⽔短時間予報の6時間先までの予測では、解析⾬量により得られた降⽔分布の移動に基づいて降⽔を予測しており、「降水の強弱の変化を計算していない」のではなく、「地形の効果や直前の降水の変化を基に、降水の強弱の変化も計算しています」ので、答えは 誤 となります。
本問の解説:(c) について
(問題)降⽔短時間予報の7時間先から 15 時間先までの予測では、メソモデルの予測結果だけでなく、局地モデルや全球モデルの予測結果を組み合わせて予測している。
→ 答えは 誤 です。
降⽔短時間予報の7時間先から 15 時間先までの予測では、メソモデルや局地モデルを組み合わせて予測していますが、全球モデル は使用していません。
全球モデル(約13km格子)は地球全体を対象としているぶん格子間隔が粗く、降水短時間予報の格子間隔(5km四方)と比べてもかなり粗いことが分かります。
一方、メソモデル(5km格子)と局地モデル(1km格子)は日本周辺をより細かい格子で予測しているため、降水短時間予報の格子間隔との相性がよいのです。



全球モデルも数値予報モデルなんだから、組み合わせてもよさそうな気がするけど・・・



気持ちは分かるよ!でも、全球モデルは格子が粗すぎて、日本付近の降水を細かく予測するには向かないんだよ!だから、より細かい格子で予測できるメソモデル(MSM)と局地モデル(LFM)の2つだけを組み合わせて使っているんだよ!
なお、7時間先から15時間先までの予測手法は、6時間先までの予測手法とは大きく異なるため、予測手法の違いに着目して「降水15時間予報」とよばれることもあります。
したがって、7時間先から15時間先までの予測では「メソモデル(MSM)・局地モデル(LFM)に加えて全球モデル(GSM)も組み合わせている」のではなく、「メソモデル(MSM)と局地モデル(LFM)の2つだけを組み合わせている」のが正しいので、答えは 誤 となります。
以上より、本問の解答は、(a) 正 (b) 誤 (c) 誤 とする 3 となります。
書いてある場所:ー
書いてある場所:ー
書いてある場所:P198〜204(降水短時間予報)
書いてある場所:P403〜407(降水短時間予報)
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
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