問15解答速報アンケートの正答率 88.9%簡単
図 A は、エルニーニョ現象およびラニーニャ現象が発⽣していない平常時の太平洋とインド洋の熱帯域の海洋の東⻄断⾯と海上⾵の状態を⽰した模式図である。⼀⽅、図 B は、エルニーニョ現象またはラニーニャ現象のいずれかが発⽣している時の同様の模式図である。これらの図から読み取ることができる⼤気と海洋の特徴について述べた次の⽂章の空欄 (a) 〜 (d) に⼊る語句の組み合わせとして正しいものを、下記の1〜5の中から1つ選べ。
インド洋⾚道域ではインドモンスーンの影響で季節によって⾵向が変わるが、平常時には図 A に⽰されるように、平均的には弱い⻄⾵が吹いている。このため、インド洋熱帯域の( a )では海⾯下百数⼗メートルまでの表層に、暖かい海⽔がやや厚めに分布している。
⼀⽅、 図 B に⽰されるように、 太平洋で( b )が発⽣すると、インド洋⾚道域では弱い東⾵に転じ、インド洋熱帯域の( a )にやや厚く蓄積されていた暖かい海⽔は、( c )に広がる。インド洋熱帯域の海⾯⽔温は、エルニーニョ監視海域の海⾯⽔温の上昇または低下に対して、3か⽉程度( d )変化し、夏季に⻄⽇本が低温傾向になるなど⽇本の天候へ影響を与える場合がある。

本問は、エルニーニョ現象・ラニーニャ現象に伴うインド洋熱帯域の海洋変動と日本の天候への影響に関する問題です。
平常時の太平洋・インド洋赤道域(予備知識)

太平洋赤道域(平常時)
太平洋赤道域の海面付近では、貿易風と呼ばれる東風が常に吹いています。
この東風によって、海面付近の暖かい海水が太平洋の西側(インドネシア近海)に吹き寄せられます。
その結果、西部では海面下数百メートルまでの表層に暖水が蓄積し、東部の南米沖では、それを補うように深いところから冷たい海水が湧き上がっています。
このため、太平洋赤道域の海面水温は西部で高く、東部で低くなっています。
インド洋赤道域(平常時)
インド洋赤道域では、インドモンスーンの影響で季節によって風向が変わりますが、平均すると弱い西風が吹いています。
この西風によって、海面付近の暖かい海水はインド洋の東側(インドネシア寄り)に吹き寄せられ、海面下百数十メートルの表層に暖水がやや厚めに分布します。
下表は、太平洋赤道域とインド洋赤道域の平常時の特徴を比べたものです。
| 海域 | 平常時の風 | 暖水が寄せられる側 |
|---|---|---|
| 太平洋赤道域 | 東風(貿易風) | 西部(インドネシア近海) |
| インド洋赤道域 | 弱い西風 | 東部(インドネシア寄り) |
上表を見ると、いずれの海域でも風が吹いていく先の側に暖水が寄せられている、という共通の関係が成り立っていることが分かります。
太平洋では「東風だから西へ」、インド洋では「西風だから東へ」、と整理して覚えておくと混同しにくくなります。
てるるん太平洋とインド洋で風向きが逆だから、暖水が寄せられる側もちょうど鏡写しの関係になっているんだよ!



インド洋では弱い西風だから、暖水は東部のインドネシア寄りに溜まるんだね!
エルニーニョ現象とラニーニャ現象(予備知識)
エルニーニョ現象


エルニーニョ現象 は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。
このとき、太平洋の貿易風(東風)は平常時よりも弱まり、西部に蓄積されていた暖水が東方へ広がるとともに、東部での冷水の湧き上がりも弱まります。
このため、太平洋赤道域の中部から東部では、海面水温が 平常時よりも高く なります。
ラニーニャ現象


ラニーニャ現象 は、エルニーニョ現象とは逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象です。
このとき、東風は平常時よりも強まり、西部に暖水がより厚く蓄積される一方、東部では冷水の湧き上がりが強まります。
このため、太平洋赤道域の中部から東部では、海面水温が 平常時よりも低く なります。
下表に、エルニーニョ現象とラニーニャ現象の特徴を整理します。
| 現象 | 太平洋の東風 | 太平洋西部の暖水 | 太平洋東部の湧昇 | 太平洋赤道域中部〜東部の海面水温 |
|---|---|---|---|---|
| エルニーニョ現象 | 平常時より弱い | 東方へ広がる | 弱まる | 平常時より高い |
| ラニーニャ現象 | 平常時より強い | より厚く蓄積 | 強まる | 平常時より低い |



エルニーニョのときは東風が弱くなって、西部に溜まっていた暖水が東へ広がっていくよ!逆にラニーニャのときは東風がより強くなって、暖水が西部にもっとたっぷり蓄積されるんだよ!



太平洋赤道域の中部から東部の海面水温が、エルニーニョでは平常時より高く、ラニーニャでは平常時より低くなるんだね!
本問の解説:(a) について
(問題)インド洋赤道域ではインドモンスーンの影響で季節によって風向が変わるが、平常時には図 A に示されるように、平均的には弱い西風が吹いている。このため、インド洋熱帯域の( a )では海面下百数十メートルまでの表層に、暖かい海水がやや厚めに分布している。
→ 答えは 東部 です。


図 A を見ると、インド洋赤道域では 弱い西風 が吹いていることがわかります。
これは、その下の海洋において、暖水(黄色〜緑色の領域)が インドネシア側(東側)に向かってやや厚く分布している状態を表しています。
したがって、平常時のインド洋熱帯域では、弱い西風によって暖水が東側へ寄せられているので、(a) には 東部 が入ります。
本問の解説:(b)(c) について
(問題)一方、図 B に示されるように、太平洋で( b )が発生すると、インド洋赤道域では弱い東風に転じ、インド洋熱帯域の東部にやや厚く蓄積されていた暖かい海水は、( c )に広がる。
→ 答えは (b) エルニーニョ現象 (c) 西部 です。
(b) について


図 B を見ると、太平洋赤道域では東風(貿易風)が平常時(図 A)よりも弱くなり、平常時には西部に蓄積されていた暖水が中部から東部にかけて広がっていることがわかります。
また、東部での冷水の湧き上がり(紫色の矢印)も、図 A に比べて弱まっています。
これは、エルニーニョ現象の特徴と一致します。
したがって、(b) には エルニーニョ現象 が入ります。
(c) について
図 B を見ると、インド洋赤道域では平常時の弱い西風が弱い東風に変わっていることがわかります。
これは、平常時に西風によって東側(インドネシア寄り)に寄せられていた暖水が、東風に転じたことでアフリカ側(西部)およびインド洋熱帯域全体へと広がっていく状態を表しています。



風向きが逆になれば、暖水が分布する側もちゃんと逆向きに変わるんだよ!



平常時は西風で東部に寄せられていた暖水が、エルニーニョ時には東風で西部に広がる、ということなんだね!
したがって、(c) には 西部 が入ります。
本問の解説:(d) について
(問題)インド洋熱帯域の海面水温は、エルニーニョ監視海域の海面水温の上昇または低下に対して、3か月程度( d )変化し、夏季に西日本が低温傾向になるなど日本の天候へ影響を与える場合がある。
→ 答えは 遅れて です。
太平洋でエルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生すると、その影響はインド洋熱帯域の海面水温にも及びます。
ここでいう「エルニーニョ監視海域」とは、北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度で囲まれた太平洋赤道域の海域で、気象庁がエルニーニョ/ラニーニャ現象の判定に用いている領域です。
一方、「インド洋熱帯域」は、北緯20度〜南緯20度、東経40度〜東経100度で囲まれた海域(IOBW)を指します(出典:気象庁「よくある質問(エルニーニョ/ラニーニャ現象)」)。
エルニーニョ監視海域の海面水温が 上昇 すると、約3ヶ月(1季節程度)遅れてインド洋熱帯域の海面水温も 上昇 します。
逆に、エルニーニョ監視海域の海面水温が 低下 した場合も、約3ヶ月(1季節程度)遅れてインド洋熱帯域の海面水温が 低下 する傾向があります。
さらに、エルニーニョ現象やラニーニャ現象が終息した後も、インド洋熱帯域の海面水温の偏差はしばらく残る傾向があります。
なぜ約3ヶ月遅れるのか
太平洋でエルニーニョ現象が発生すると、まずインド洋赤道域では大気の風系が変化し、東風に転じます。
この風の変化を受けて、インド洋熱帯域の海洋の状態(暖水の分布や日射量の変化による海面の昇温)がゆっくりと動いていくためです。
海洋は大気よりも動きがゆっくりなため、太平洋赤道域の海面水温の変動から少し遅れて、インド洋熱帯域の海面水温が変動するわけです。
【補足】夏季の日本の天候への影響
夏季にインド洋熱帯域の海面水温が高いと、フィリピン付近の対流活動が抑制され、太平洋高気圧の北への張り出しが弱くなるため、西日本では低温傾向、北日本では多雨・寡照、沖縄・奄美では高温傾向となることがあります。



太平洋の海面水温が変化したあと、少し時間が経ってから「遅れて」インド洋の海面水温が変化するんだよ!



原因(太平洋の変化)と結果(インド洋の変化)の間にタイムラグがあるから、夏季の日本の天候への影響もエルニーニョ終息後に現れるんだね!
したがって、インド洋熱帯域の海面水温は、エルニーニョ監視海域の海面水温の上昇または低下に対して3か月程度遅れて変化しますので、(d) には 遅れて が入ります。
以上より、本問の解答は、(a) 東部 (b) エルニーニョ現象 (c) 西部 (d) 遅れて とする 3 となります。
書いてある場所:P282〜291(エルニーニョ現象、ラニーニャ現象)
書いてある場所:P443〜446(エルニーニョ現象、ラニーニャ現象)
書いてある場所:P390〜394(エルニーニョ現象、ラニーニャ現象)
書いてある場所:P181〜182、352〜353(エルニーニョ現象、ラニーニャ現象)
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。
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