【第61回】2024年１月試験（実技１）問３（３）（八丈島上空の温度移流）

本問は、鉛直シアーから温度移流を判断する問題です。

本問の解説

（問題）図９をもとに、22日24時における八丈島上空の高度 0.4km から 2.2km の気層の温度移流の状況を簡潔に答えよ。また、そのように判断した理由を 25 字程度で述べよ。

→ 答えは下記のとおりです。

本問の考え方は、問３(2) とほとんど同じです。

まずは、基本的な考え方をおさらいしておきましょう。

同一地点で異なる高度の風を地衡風と仮定すると、それぞれの風向の違いから、これらの層が挟む気層の温度移流を判断することができます。

具体的には、風向が上空に向かって時計回りに変化する場合は 暖気移流 となり、風向が上空に向かって反時計回りに変化する場合は 寒気移流 となります。

▼ 温度風については、下記記事で詳しく解説していますので、よければご覧ください。▼

てるるん日記

【初心者向け】温度風とは？仕組みや重要な３つの性質を徹底解説 気象学を学ぶ中で、多くの方がつまづくポイントが「温度風」です。 温度風は 暖気移流 や 寒気移流 と密接に関係し、特に地衡風の変化を説明する概念として、とても重要で…

では、本問を見てみましょう。

上図の22日24時の鉛直シアーに注目すると、下層 (高度0.4km) は北寄りの風、上層 (高度2.2km) は西寄りの風となっており、風向が上空に向かって反時計回りに変化しているため、寒気移流 となっていることが分かります。

また、問３(1) (下図) で求めたように、22日９時に九州の南にあった低気圧は、22日21時より少し前に八丈島の南側を通過しています。

このことから、22日24時は、低気圧が八丈島を通過した後であり、観測された寒気移流は、この低気圧の 寒冷前線 に伴うものであると推測することができます。

以上より、本問の解答は下記のようになります。