実技1の前提条件
次の資料を基に以下の問題に答えよ。ただし、UTC は協定世界時を意味し、問題文中の時刻は特に断らない限り中央標準時(日本時)である。中央標準時は協定世界時に対して9時間進んでいる。なお、解答における字数に関する指示は概ねの目安であり、それより若干多くても少なくてもよい。
XX 年1月22日から23日にかけての日本付近における気象の解析と予想に関する以下の問いに答えよ。予想図の初期時刻は、いずれも1月22日9時(00UTC)である。
図10は22日12時のアメダス実況図、図11は22日3時~21時の東京と熊谷および勝浦における気象要素の時系列図である。これらを用いて以下の問いに答えよ。なお、関東地方では南部を中心に概ね22日6時過ぎから降水が観測されている。
問4(4)
東京 (観測点) が位置する千代田区の気象状況について、図11 (上) を用いて以下の問いに答えよ。ただし、千代田区の大雪注意報、大雪警報の発表基準は、それぞれ、12時間降雪量で5cm、10cmとする。
① 東京 (観測点) の観測値を千代田区内の最大値とした場合、千代田区で大雪注意報および大雪警報の発表基準に初めて到達する時刻を、1時間刻みで答えよ。ただし、12時間降雪量はその時刻までの12時間分の1時間降雪量を足し合わせたものとする。
② 図11 (上) の気象状況において、千代田区に対して大雪警報と大雪注意報以外に発表が想定される警報もしくは注意報の種類を1つ答え、その根拠を図11 (上) で示されている気象要素に言及して 20 字程度で述べよ。
答え
本問は、雪に関する警報・注意報の問題です。
本問の解説:① について
(問題)東京 (観測点) の観測値を千代田区内の最大値とした場合、千代田区で大雪注意報および大雪警報の発表基準に初めて到達する時刻を、1時間刻みで答えよ。ただし、12時間降雪量はその時刻までの12時間分の1時間降雪量を足し合わせたものとする。(千代田区の大雪注意報、大雪警報の発表基準は、それぞれ、12時間降雪量で5cm、10cmとする。)
→ 答えは 大雪注意報:16時 、大雪警報:18時 です。
図11 (上) に記されている前1時間降雪量の値をもとに、12時間降雪量を計算します。
問題文に「12時間降雪量はその時刻までの12時間分の1時間降雪量を足し合わせたものとする」とあることから、前1時間降雪量を単純に足していき、大雪注意報(5cm)と大雪警報(10cm)の発表基準を超過した時間を求めればOKです。
したがって、大雪注意報基準の5cmを超えるのは 16時 、大雪警報基準の10cmを超えるのは 18時 となります。
本問の解説:② について
(問題)図11 (上) の気象状況において、千代田区に対して大雪警報と大雪注意報以外に発表が想定される警報もしくは注意報の種類を1つ答え、その根拠を図11 (上) で示されている気象要素に言及して 20 字程度で述べよ。(千代田区の大雪注意報、大雪報の発表基準は、それぞれ、12時間降雪量で5cm、10cmとする。)
→ 答えは下記の通りです。
大雪注意報・警報以外の雪に関する注意報・警報は下表のとおりです。
名称 | 内容 |
---|---|
風雪注意報 | 風雪注意報は、雪を伴う強風により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。強風による災害のおそれに加え、強風で雪が舞って視界が遮られることによる災害のおそれについても注意を呼びかけます。ただし「大雪+強風」の意味ではなく、大雪により災害が発生するおそれがあると予想したときには大雪注意報を発表します。 |
暴風雪警報 | 暴風雪警報は、雪を伴う暴風により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。暴風による重大な災害のおそれに加え、暴風で雪が舞って視界が遮られることによる重大な災害のおそれについても警戒を呼びかけます。ただし「大雪+暴風」の意味ではなく、大雪により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときには大雪警報を発表します。 |
なだれ注意報 | なだれ注意報はなだれによる災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。山などの斜面に積もった雪が崩落することによる人や建物の被害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。 |
着氷注意報 | 着氷注意報は、著しい着氷により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。具体的には、水蒸気や水しぶきの付着・凍結による通信線・送電線の断線、船体着氷による転覆・沈没等の被害が発生するおそれのあるときに発表します。 |
着雪注意報 | 着雪注意報は、著しい着雪により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。具体的には、雪が付着することによる電線等の断線や送電鉄塔等の倒壊等の被害が発生する(気温0℃付近で発生しやすい)おそれのあるときに発表します。 |
融雪注意報 | 融雪注意報は、融雪により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。具体的には、積雪が融解することによる土砂災害や浸水害が発生するおそれがあるときに発表します。 |
低温注意報 | 低温注意報は、低温により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。具体的には、低温による農作物の被害(冷夏の場合も含む)や水道管の凍結や破裂による著しい被害の発生するおそれがあるときに発表します。 |
では、1つずつ見ていきましょう。
風雪注意報、暴風雪警報 は、雪を伴う強風、暴風が対象ですが、風速の最大値は17時の6m/sで弱いため、該当しません。
(ちなみに、東京都(千代田区を含む)の風雪注意報の発表基準は、風速13m/sで雪を伴う場合です。)
なだれ注意報 は、山などの斜面に積もった雪の崩落が対象ですが、千代田区に高い山はないため、該当しません。
(ちなみに、そもそも東京都(千代田区を含む)は、なだれ注意報の対象ではありませんが、参考までに栃木県足利市のなだれ注意報の発表基準は、① 24時間降雪の深さが30cm以上、または ② 40cm以上の積雪があって日最高気温が6℃以上の場合です。)
着氷注意報 は、水蒸気や水しぶきの付着・凍結による通信線・送電線の断線、船体着氷による転覆・沈没等が対象であり、東京都(千代田区を含む)の発表基準は、大雪警報の条件下で気温が-2℃~2℃の時です。
問題 ① で求めたように、大雪警報の基準は18時に超過しており、気温も0℃前後で推移しているため、発表の可能性があります。
着雪注意報 は、雪が付着することによる電線等の断線や送電鉄塔等の倒壊等が対象であり、東京都(千代田区を含む)の発表基準は、大雪警報の条件下で気温が-2℃~2℃の時です。
問題 ① で求めたように、大雪警報の基準は18時に超過しており、気温も0℃前後で推移しているため、発表の可能性があります。
融雪注意報 は、積雪が融解することによる土砂災害や浸水害が対象ですが、この程度の積雪では土砂災害や浸水害は発生しないため、該当しません。
(ちなみに、そもそも東京都(千代田区を含む)は、融雪注意報の対象ではありませんが、参考までに北海道宗谷地方の融雪注意報の発表基準は、24時間雨量と融雪量(相当水量)の合計が50㎜以上の場合です。)
低温注意報 は、低温による農作物の被害や水道管の凍結や破裂が対象ですが、気温0℃前後では発表しないため、該当しません。
(ちなみに、東京都(千代田区を含む)の低温注意報の発表基準は、最低気温-7℃以下の場合です。)
したがって、大雪警報と大雪注意報以外に発表が想定される注意報と、その根拠は下記のようになります。
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。
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