問12
図はA地点、B地点における、冬季の日々の最高気温と最低気温について、30日間の実況と予報の分布を示したものである。この図について述べた次の文 (a) ~ (c) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。ただし、見逃し率および空振り率は全予報数に対する割合とする。
(a) 最低気温の予報の平均誤差 (ME) に正の偏りがあるのはA地点であり、最高気温の予報の二乗平均平方根誤差 (RMSE) を比較して予報精度が良いのはB地点である。
(b) 冬日の予報の見逃し率は、A地点の方がB地点よりも低い。
(c) 真冬日の予報の空振り率は、A地点の方がB地点よりも低い。

本問は、気温予報の検証に関する問題です。
問題を解く前に、用語の整理をしておきましょう。
平均誤差
平均誤差(ME:Mean Error)とは、量的予報(例:気温、風速など)の誤差(=予報値−実況値)の系統的な偏りを評価する指標です。
平均誤差は下式で定義され、予報値から実況値を差し引いた予報誤差の合計を、予報回数で割って求めます。

(N:全事例数、xi:予報値、ai:実況値)
平均誤差は、値がプラスであれば予報が過大、マイナスであれば予報が過小であることを意味します。
つまり、値が0のときは、平均的に見て、予報が正にも負にも偏っていないということです。
しかし、正の誤差と負の誤差が打ち消し合う場合にも、値は小さくなりますので、値が小さいほど予報精度が良いわけではありません。

平均誤差は、実況値に比べて、予報値が全体的に大きいのか、小さいのかを判別する指標なんだね!
二乗平均平方根誤差
二乗平均平方根誤差(RMSE:Root Mean Square Error)とは、量的予報(例:気温、風速など)の誤差(=予報値−実況値)の大きさを評価する指標です。
二乗平均平方根誤差は下式で定義され、予報値と実況値の誤差を二乗して平均し、その平方根を取って求めます。


(N:全事例数、xi:予報値、ai:実況値)
二乗平均平方根誤差は、誤差を二乗していますので、誤差の正負(系統的な偏り)ではなく、誤差の大きさを評価します。
つまり、値が0に近いほど予報精度が良く、値が大きいほど誤差が大きいということです。



平均誤差は、予報誤差の偏りを評価していたのに対して、
二乗平均平方根誤差は、予報誤差の大きさを評価しているんだよ!
見逃し率
見逃し率 とは、現象なしと予想したのに、現象が起きた日の割合のことです。


見逃し率 = C / N
(N:全事例数(=A+B+C+D)、C:見逃し数)



野球のバッターが、ボール球だと思って見逃したのにストライクだった!
みたいなかんじだね!
空振り率
空振り率 とは、現象ありと予想したのに、現象が起きなかった日の割合のことです。


空振り率 = B / N
(N:全事例数(=A+B+C+D)、B:空振り数)



野球のバッターが、ストライクだと思ってバットを振ったのに、実際はボール球だった!
みたいなかんじだよ!
本問の解説:(a) について
(問題)最低気温の予報の平均誤差 (ME) に正の偏りがあるのはA地点であり、最高気温の予報の二乗平均平方根誤差 (RMSE) を比較して予報精度が良いのはB地点である。
→ 答えは 正 です。
平均誤差(ME)は(予報値−実況値)の平均です。
平均誤差は、値がプラスであれば、予報が過大、マイナスであれば、予報が過小であることを意味します。
問題の図をみると、A地点の最高気温は、常に実況値より予報値の方が高いため、予報が正に偏っていることが分かります。
一方、B地点の最高気温は、常に実況値より予報値の方が低いため、予報が負に偏っていることが分かります。


また、二乗平均平方根誤差(RMSE)は、(予報値−実況値)の二乗平均を平方根したものです。
この値が小さいほど、予報の精度が良いということができます。
問題の図を見ると、B地点の方が、A地点よりも予報のバラつきが小さく、RMSEも小さくなるため、予報精度が良いことが分かります。
したがって、最低気温の予報の平均誤差 (ME) に正の偏りがあるのはA地点であり、最高気温の予報の二乗平均平方根誤差 (RMSE) を比較して予報精度が良いのはB地点ですので、答えは 正 となります。
本問の解説:(b) について
(問題)冬日の予報の見逃し率は、A地点の方がB地点よりも低い。(ただし、見逃し率は全予報数に対する割合とする。)
→ 答えは 誤 です。
冬日 とは、日最低気温が0℃未満の日のことです。
冬日の予報の見逃し率 とは、最低気温が0℃以上(=冬日でない)と予想したのに、実況が0℃未満であった(=冬日だった)日の割合のことです。
つまり、下図の赤枠の部分が、冬日の予報の見逃しです。


実際に計算してみると
A地点の冬日の予報の見逃し率 = 6/30 = 0.2
B地点の冬日の予報の見逃し率 = 0/30 = 0
となり、冬日の予報の見逃し率は、A地点の方がB地点よりも高いことが分かります。
したがって、冬日の予報の見逃し率は、A地点の方がB地点よりも「低い」ではなく「高い」ので、答えは 誤 となります。
本問の解説:(c) について
(問題)真冬日の予報の空振り率は、A地点の方がB地点よりも低い。(ただし、空振り率は全予報数に対する割合とする。)
→ 答えは 誤 です。
真冬日 とは、日最高気温が0℃未満の日のことです。
真冬日の予報の空振り率 とは、最高気温が0℃未満(=真冬日)と予想したのに、実況が0℃以上であった(=真冬日でなかった)日の割合のことです。
つまり、下図の赤枠の部分が、真冬日の予報の空振りです。


実際に計算してみると
A地点の真冬日の予報の空振り率 = 4/30 = 0.13
B地点の真冬日の予報の空振り率 = 1/30 = 0.03
となり、真冬日の予報の空振り率は、A地点の方がB地点よりも高いことが分かります。
したがって、真冬日の予報の空振り率は、A地点の方がB地点よりも「低い」ではなく「高い」ので、答えは 誤 となります。
以上より、本問の解答は、(a) 正 (b) 誤 (c) 誤 とする 3 となります。
書いてある場所:ー
書いてある場所:ー
書いてある場所:P304〜320(予報精度評価)
書いてある場所:P452〜463(予報精度の評価)
書いてある場所:P186〜192(予報精度評価の種類)
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。
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