【第62回】2024年8月試験(学科専門試験)問14(気象災害や防災気象情報)

問14

日本の気象災害や気象庁が発表する防災気象情報について述べた次の文 (a) ~ (c) の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

(a) 発達した積乱雲により強い雨やひょうが降り、農作物などが被害を受けることがある。降ひょうによる被害のおそれがある場合は、大雨注意報を発表して注意を呼びかけている

(b) 夏季に低温や長雨などが続くと、農作物に被害が発生することがある。夏季に発表される低温注意報は、気温および日照時間の平年からの偏差を発表の基準としている

(c) 早霜や晩霜により農作物などの被害が発生するおそれのあるときに発表される霜注意報は、実施期間をきめて運用されており、隣接する府県予報区においても開始日や終了日が異なる場合がある

   





解説

本問は、気象庁が発表する防災気象情報のうち、雷注意報、低温注意報、霜注意報に関する問題です。

本問の解説:(a) について

(問題)発達した積乱雲により強い雨やひょうが降り、農作物などが被害を受けることがある。降ひょうによる被害のおそれがある場合は、大雨注意報を発表して注意を呼びかけている

→ 答えは です。

降ひょうによる被害に対しては、気象情報のほか、雷注意報の中の付加事項により注意を呼びかけています。

府県気象情報(降ひょう)
出典:気象庁ホームページ「気象情報
降ひょうを付加した雷注意報
画像出典:気象庁ホームページ「急な大雨や雷・竜巻から身を守るために ~気象情報をこまめに確認する~

したがって、降ひょうによる被害のおそれがある場合は、「大雨注意報」ではなく「気象情報」や「雷注意報の中の付加事項」で注意を呼びかけていますので、答えは となります。

本問の解説:(b) について

(問題)夏季に低温や長雨などが続くと、農作物に被害が発生することがある。夏季に発表される低温注意報は、気温および日照時間の平年からの偏差を発表の基準としている

→ 答えは です。

低温注意報 は、低温により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表されます。

具体的には、低温による農作物の被害(冷夏の場合も含む)水道管の凍結や破裂による著しい被害の発生するおそれがあるときに発表されます。

低温注意報の発表基準は地域によって異なりますが、基準となる要素は気温だけで、日照時間は発表の基準とされていません

例えば、東京都東京地方の低温注意報の発表基準は、夏期は平均気温が平年より5℃以上低い日が3日続いた後、さらに2日以上続くとき冬期は最低気温が−7℃以下(多摩西部は−9℃以下)となる予想の時とされています。

(気象庁ホームページ「警報・注意報発表基準一覧表」で、各地域の低温注意報の発表基準を閲覧できます。ぜひ、お住まいの地域の発表基準を確認してみてください。)

したがって、夏季に発表される低温注意報は、「気温および日照時間の平年からの偏差」ではなく「平均気温の平年偏差および継続期間」を発表の基準としていますので、答えは となります。

本問の解説:(c) について

(問題)早霜や晩霜により農作物などの被害が発生するおそれのあるときに発表される霜注意報は、実施期間をきめて運用されており、隣接する府県予報区においても開始日や終了日が異なる場合がある

→ 答えは です。

霜注意報 は、霜により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表されます。

具体的には、春・秋に気温が下がって霜が発生することによる農作物や果実の被害が発生するおそれのあるときに発表されます。

霜注意報が対象とする霜は早霜晩霜(遅霜)の2種類があります。

早霜(読:はやじも)とは、秋の比較的早い時期(=秋が深まる前)に降りる霜のことです。

一般に、9月から10月頃に発生する霜が「早霜」と呼ばれます。

早霜は、まだ農作物が完熟していない時期に発生するため、豆類や秋作物などに大きな被害をもたらすことがあります。

晩霜(遅霜)(読:ばんそう(おそじも))とは、晩春から初夏の時期に降りる霜のことです。

一般に、3月から5月頃に発生する霜が「晩霜(遅霜)」と呼ばれます。

遅霜は、すでに農作物の芽吹きや生育が進んだ時期に発生するため、果樹・野菜・春作物などに大きな被害をもたらすことがあります。

霜注意報の実施期間は年や地域によって異なります

例えば、下図のように、令和6年の九州各県および山口県における晩霜に対する霜注意報の開始日は隣接する府県予報区においても異なることが分かります。

晩霜に対する霜注意報の開始日について

これは、霜の発生時期が地域により異なることや、農作物の作付や生育状況が異なることを踏まえ、各気象台が農業関係者(県の農政部局など)から情報を得て運用されているためです。

したがって、霜注意報は、隣接する府県予報区においても開始日や終了日が異なる場合がありますので、答えは となります。

以上より、本問の解答は、(a) (b) (c) とする となります。

ここに書いてあるよ
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書いてある場所:ー


書いてある場所:ー


書いてある場所:P361(雷注意報)、P362〜363(霜注意報)、P364(低温注意報)


書いてある場所:P419〜421(警報と注意報)


気象庁ホームページ「気象警報・注意報の種類


気象庁ホームページ「警報・注意報発表基準一覧表

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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