【第60回】2023年8月試験(学科専門試験)問14(予報の評価・ME・RMSE・見逃し率)

問14

表は、ある期間のA地点とB地点における日最高気温の予報と実況を示したものである。予報の検証について述べた次の文 (a) 〜 (c) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1〜5の中から1つ選べ。ただし、見逃し率は全予報数に対する割合とする。

(a) この期間の最高気温の予報について、系統的な偏りを平均誤差 (ME) により求めると、どちらの地点も正の偏りがある。

(b) この期間の最高気温の予報について、予報誤差の標準的な大きさを2乗平均平方根誤差 (RMSE) により求めると、B地点の方がA地点よりも予報誤差が大きい。

(c) この期間の真夏日の予報の見逃し率は、B地点の方がA地点よりも低い。

気象予報士試験_第60回_専門知識_問14
   





解説

本問は、日最高気温予報の検証に関する問題です。

本問の解説:(a)について

(問題)この期間の最高気温の予報について、系統的な偏りを平均誤差 (ME) により求めると、どちらの地点も正の偏りがある。

→ 答えは です。

平均誤差( ME:Mean Error )は、次の式で定義されます。

ME

ここで、 \( N \) は標本数、 \( x_i \) は予報値、 \( a_i \) は実況値です。

この式に問題のA地点、B地点それぞれの予報値および実況値をあてはめて計算してみます。

A地点

気象予報士試験_第60回_専門知識_問14
MEの計算_A地点

B地点

気象予報士試験_第60回_専門知識_問14
MEの計算_B地点

したがって、平均誤差(ME)はどちらの地点も正であり、正の偏りがありますので、答えは となります。

本問の解説:(b)について

(問題)この期間の最高気温の予報について、予報誤差の標準的な大きさを2乗平均平方根誤差 (RMSE) により求めると、B地点の方がA地点よりも予報誤差が大きい。

→ 答えは です。

2乗平均平方根誤差(RMSE:Root Mean Square Error)は、次の式で定義されます。

RMSE

ここで、 \( N \) は標本数、 \( x_i \) は予報値、 \( a_i \) は実況値です。

この式に問題のA地点、B地点それぞれの予報値および実況値をあてはめて計算してみます。

ただし、今回の場合、地点Aと地点BのRMSEの大小を比較するだけですので、

面倒なルートの計算を省くために、RMSE2 を計算してみます。

A地点

気象予報士試験_第60回_専門知識_問14
RMSEの計算_A地点

B地点

気象予報士試験_第60回_専門知識_問14
RMSEの計算_B地点

したがって、2乗平均平方根誤差(RMSE)は、A地点の方がB地点より大きいので、答えは となります。

本問の解説:(c)について

(問題)この期間の真夏日の予報の見逃し率は、B地点の方がA地点よりも低い。

気象予報士試験_第60回_専門知識_問14

→ 答えは です。

真夏日 とは、最高気温が30°C以上の日です。

見逃し率 とは、現象なしと予想したのに、現象が起きた日の割合のことです。

てるらん

野球のバッターが、ボールだと思って見逃したのにストライクだった!
みたいなかんじだね!

なので、真夏日予報の見逃し率は、真夏日にならないと予報したのに、実況で真夏日になった日を、全体の標本数で割って求めます。

下図の赤色は実況で真夏日だった日、黄色は真夏日を見逃した日です。

真夏日の見逃し率の比較

上図から、真夏日の見逃し回数は、A地点は1回、B地点は2回なので、見逃し率はB地点の方が高くなります。

したがって、真夏日の予報の見逃し率は、B地点の方がA地点よりも高いので、答えは となります。

以上より、本問の解答は、(a) (b) (c) とする となります。

ここに書いてあるよ

書いてある場所:P304〜320(見逃し率、平均誤差(ME)、2乗平均平方根誤差(RMSE))


書いてある場所:P186〜192(見逃し率、平均誤差(ME)、2乗平均平方根誤差(RMSE))

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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