【第61回】2024年１月試験（実技１）問４（２）（シアーラインの解析）

本問は、シアーラインの解析に関する問題です。

本問の解説：① について

（問題）図10 (上) を用いて、関東地方南部における、シアーライン（北風と北東風の間の太い破線）を挟んだ気温分布の特徴を 35 字程度で述べよ。

→ 答えは シアーラインの北西側は、南東側と比較して相対的に低温となっている。(33字) です。

下図は、図10 (上) のシアーライン付近の気温を色分けしたものです。

（1.0℃以下：青色、1.1〜2.0℃：緑色、2.1〜3.0℃：オレンジ色、3.1℃以上：赤色）

上図を見ると、シアーラインの北西側では概ね２℃以下になっており、南東側では２℃以上になっていることが分かります。

したがって、答えは シアーラインの北西側は、南東側と比較して相対的に低温となっている。となります。

本問の解説：② について

（問題）シアーラインは南東に移動し、22日21時までに勝浦を通過している。図11 (下) を用いて、勝浦をシアーラインが通過した時刻を１時間刻みで答えよ。また、その時刻の前後３時間の間に考えられる勝浦における天気の変化を簡潔に述べよ。ただし、「通過した時刻」とは、図において通過したと判断される最初の時刻とする。

→ 答えは 通過した時刻：17時、天気の変化：雨が雪（みぞれ）に変わる。です。

シアーラインが通過した時刻

先ほどの 問題 ① で求めたように、シアーラインの北西側では概ね２℃以下で、南東側では２℃以上になっており、シアーラインの北西側は、南東側と比較して相対的に低温となっていることが分かっています。

また問題文より、シアーラインは北風と北東風の間に描かれ、南東に移動していますので、シアーライン通過後は風向が変化し、低温域に入るため、気温が低下するだろうと推測できます。

これらをもとに、勝浦における気象要素の時系列図（図11(下)）を見てみましょう。

上図によると、気温は15時以降、次第に低下し始め、16時〜17時にかけて気温が約２℃低下し、その後も気温は０℃〜２℃と低い状態になっています。

また、風向は16時〜17時にかけて、北北東から北北西に変わっています。

これらの特徴は、最初に推測したシアーライン通過時の特徴と一致しますので、シアーラインが通過した時刻（通過したと判断される最初の時刻）は 17時 となります。

天気の変化

図11 (下) は XX 年１月22日の時系列図なので、季節は冬であり、シアーラインが通過した17時の前後３時間は降水が継続していることが分かります。

また、シアーラインが通過する前後で気温は約２～５℃から約０～２℃へ大きく低下しており、湿度は約90％とほとんど変わっていません。

これらの情報から、問題文で問われている「天気の変化」とは、降水現象の種別が雨から雪 or みぞれに変わったのではないか、と推測することができます。

では、実際にそうなるか確かめてみましょう。

下図は気温と湿度によって雨になるか雪になるかを判別する表です。

シアーライン通過前の３時間 (14～17時) の勝浦の気温は約２～５℃で、湿度は約90％でしたので、降水種別は雨である可能性が高いです。

シアーライン通過後の３時間 (17～20時) の勝浦の気温は約０～２℃で、湿度は約90％でしたので、降水種別は雪orみぞれである可能性が高いです。

したがって、はじめに推測した通り、シアーラインの通過前後で、雨が雪 or みぞれに変わったと考えられますので、答えは 雨が雪（みぞれ）に変わる。となります。