【第61回】2024年1月試験(学科一般試験)問13(予報業務の許可)

第62回_気象予報士試験_解答速報(予告)

問13

気象庁以外の者が予報業務を行うときに必要な気象庁長官の許可について述べた次の文 (a) 〜 (d) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

(a) ある町の桜の開花予測を行い、地元観光協会のホームページに掲載するときには、予報業務の許可を受けなければならない。

(b) 旅館で働く気象予報士が、気象庁が発表した天気、気温及び風の予報を、旅館のホームページに毎日掲載するときには、予報業務の許可を受けなければならない。

(c) 建設会社が、気象予報士の資格を持つ社員に自社の工事現場周辺のきめ細かな天気予報を行わせ、社内で共有するときには、自社だけの使用であっても予報業務の許可を受けなければならない。

(d) 気象予報士が、自宅周辺の独自の天気予報を定期的に個人のホームページに掲載するときには、予報業務の許可を受けなければならない。

   





解説

本問は、予報業務の許可に関する問題です。

本問の解説

(問題)気象庁以外の者が予報業務を行うときに必要な気象庁長官の許可について述べた次の文 (a) 〜 (d) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

(a) ある町の桜の開花予測を行い、地元観光協会のホームページに掲載するときには、予報業務の許可を受けなければならない。

(b) 旅館で働く気象予報士が、気象庁が発表した天気、気温及び風の予報を、旅館のホームページに毎日掲載するときには、予報業務の許可を受けなければならない。

(c) 建設会社が、気象予報士の資格を持つ社員に自社の工事現場周辺のきめ細かな天気予報を行わせ、社内で共有するときには、自社だけの使用であっても予報業務の許可を受けなければならない。

(d) 気象予報士が、自宅周辺の独自の天気予報を定期的に個人のホームページに掲載するときには、予報業務の許可を受けなければならない。

→ 答えは (a) (b) (c) (d) とする です。

まずは、関係する気象業務法の規定を見てみましょう。

(定義)

第二条 この法律において「気象」とは、大気(電離層を除く。)の諸現象をいう。

 この法律において「予報」とは、観測の成果に基づく現象の予想の発表をいう。

(予報業務の許可)

第十七条 気象庁以外の者が気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務(以下「予報業務」という。)を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならない。

 前項の許可(以下この章において「許可」という。)は、予報業務の目的及び範囲(土砂崩れ(崖崩れ、土石流及び地滑りをいう。以下同じ。)、高潮、波浪又は洪水の予報の業務(以下「気象関連現象予報業務」という。)をその範囲に含む予報業務の許可にあつては、当該気象関連現象予報業務のための気象の予想を行うか否かの別を含む。第十九条第一項及び第四十六条第三号において同じ。)を定めて行う。

 噴火、火山ガスの放出、土砂崩れ、津波、高潮又は洪水の予報の業務(以下「特定予報業務」という。)をその範囲に含む予報業務の許可については、当該特定予報業務に係る予報業務の目的は、第十九条の三の規定による説明を受けた者にのみ利用させるものに限られるものとする。

気象業務法「https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC0000000165

では、本問の選択肢と見比べてみましょう。

本問の解説:(a)について

(問題)ある町の桜の開花予測を行い、地元観光協会のホームページに掲載するときには、予報業務の許可を受けなければならない。

→ 答えは です。

予報業務の許可が必要なのは、気象、地象、津波、高潮、波浪、洪水の予報を行う場合です。

それ以外の現象に関する予報業務の許可は不要です。

桜の開花予測は、気象そのものではなく、気象の影響を受けた生物の行動を予測するものですので、予報業務許可制度の対象外です。

したがって、答えは となります。

本問の解説:(b)について

(問題)旅館で働く気象予報士が、気象庁が発表した天気、気温及び風の予報を、旅館のホームページに毎日掲載するときには、予報業務の許可を受けなければならない。

→ 答えは です。

予報業務の許可が必要なのは、自ら現象を予想し、その結果を発表する場合です。

ここでいう「現象の予想」とは、観測結果に基づいて自ら現象を予測することを指します。

気象庁などが発表した予報事項を単に伝達するだけであれば、自ら予想を行っているわけではありませんので、予報業務には該当しません。

したがって、答えは となります。

本問の解説:(c)について

(問題)建設会社が、気象予報士の資格を持つ社員に自社の工事現場周辺のきめ細かな天気予報を行わせ、社内で共有するときには、自社だけの使用であっても予報業務の許可を受けなければならない。

→ 答えは です。

予報とは、観測の成果に基づいた現象の予想を公に発表することであり、予報業務の許可が必要なのは、気象、地象、津波、高潮、波浪、洪水の予報を行う場合です。

また、ここでいう「発表」とは、予想を行った者、またはそれを行わせた者が、その結果を自己責任の範囲を超えて他者に提供することを意味します。

気象予報士の資格を持つ社員が、工事現場周辺の細かな天気予報を行う場合、これは気象に関する観測成果に基づいた予想に該当します

しかし、その結果を自社内だけで利用するのであれば、それは自己責任の範囲内で行われたものであり、「発表」には該当しません

したがって、気象の予想を自社内のみで利用する場合、予報業務の許可は必要ありませんので、答えは となります。

本問の解説:(d)について

(問題)気象予報士が、自宅周辺の独自の天気予報を定期的に個人のホームページに掲載するときには、予報業務の許可を受けなければならない。

→ 答えは です。

予報とは、観測の成果に基づいた現象の予想を公に発表することであり、予報業務の許可が必要なのは、気象、地象、津波、高潮、波浪、洪水の予報を行う場合です。

ここでいう「発表」とは、予想を行った者、またはそれを行わせた者が、その結果を自己責任の範囲を超えて他者に提供することを意味します。

また、予報業務とは、予報を業務として行うことを指し、業務として認められるためには、反復継続して行われる必要があります。

たとえ毎日でなくても、週1回や月1回など、定期的に繰り返して行う場合には、対価の有無は関係なく、反復継続性が認められます。

ただし、研究の成果として学会で発表するような事例は、この限りではありません。

本問のように、独自の天気予報を個人のホームページに公開することは、他者がその予報を閲覧できる状態にすることであり「発表」に該当します。

また、これを定期的に公開する場合には、繰り返し継続して行われていると認められ、ホームページの閲覧が有料か無料かに関わらず、予報業務に該当します。

したがって、独自の天気予報を定期的に個人のホームページに公開することは、許可を要する予報業務に該当し、気象庁長官の許可が必要ですので、答えは となります。

以上より、本問の解答は、(a) (b) (c) (d) とする となります。

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書いてある場所:P328〜344(気象関連法令集)

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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