【第61回】2024年1月試験(学科一般試験)問14(気象庁以外の者が行う気象観測)

第62回_気象予報士試験_解答速報(予告)

問14

気象庁以外の者が行う気象観測について述べた次の文 (a) 〜 (d) の正誤について、下記の1〜5の中から正しいものを1つ選べ。

(a) 駅に隣接する商業施設が駅前の気温を電光掲示板で市民に発表するために温度計を設置する場合は、温度計の設置について気象庁長官に届け出なければならない。

(b) 国立大学が研究のためのデータを得るために風速観測施設を国内に設置する場合は、その旨を気象庁長官に届け出なければならない。

(c) 船舶から気象庁長官に対してその成果の報告を行わなければならない気象の観測に用いる気象測器は、検定に合格したものでなければならない。

(d) 気象庁長官は、気象観測の施設の設置の届け出をした者に対し、観測の成果の報告を求めることができる。

   





解説

本問は、気象庁以外の者が行う気象観測の届出や、使用する気象測器に関する問題です。

本問の解説

(問題)気象庁以外の者が行う気象観測について述べた次の文 (a) 〜 (d) の正誤について、下記の1〜5の中から正しいものを1つ選べ。

(a) 駅に隣接する商業施設が駅前の気温を電光掲示板で市民に発表するために温度計を設置する場合は、温度計の設置について気象庁長官に届け出なければならない。

(b) 国立大学が研究のためのデータを得るために風速観測施設を国内に設置する場合は、その旨を気象庁長官に届け出なければならない。

(c) 船舶から気象庁長官に対してその成果の報告を行わなければならない気象の観測に用いる気象測器は、検定に合格したものでなければならない。

(d) 気象庁長官は、気象観測の施設の設置の届け出をした者に対し、観測の成果の報告を求めることができる。

→ 答えは (b)のみ誤り とする です。

まずは、関係する気象業務法の規定を見てみましょう。

(気象庁以外の者の行う気象観測)

第六条 気象庁以外の政府機関又は地方公共団体が気象の観測を行う場合には、国土交通省令で定める技術上の基準に従つてこれをしなければならない。但し、左に掲げる気象の観測を行う場合は、この限りでない。

  研究のために行う気象の観測

  教育のために行う気象の観測

  国土交通省令で定める気象の観測

 政府機関及び地方公共団体以外の者が次に掲げる気象の観測を行う場合には、前項の技術上の基準に従つてこれをしなければならない。ただし、国土交通省令で定める気象の観測を行う場合は、この限りでない。

  その成果を発表するための気象の観測

  その成果を災害の防止に利用するための気象の観測

 前二項の規定により気象の観測を技術上の基準に従つてしなければならない者がその施設を設置したときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を気象庁長官に届け出なければならない。これを廃止したときも同様とする。

 気象庁長官は、気象に関する観測網を確立するため必要があると認めるときは、前項前段の規定により届出をした者に対し、気象の観測の成果を報告することを求めることができる。

(観測等の委託)

第七条 船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第四条の規定により無線電信を施設することを要する船舶で政令で定めるものは、国土交通省令の定めるところにより、気象測器を備え付けなければならない。

 前項の船舶は、国土交通省令で定める区域を航行するときは、前条第一項の技術上の基準に従い気象及び水象を観測し、国土交通省令の定めるところにより、その成果を気象庁長官に報告しなければならない。

(観測に使用する気象測器)

第九条 第六条第一項若しくは第二項の規定により技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測に用いる気象測器、第七条第一項の規定により船舶に備え付ける気象測器又は第十七条第一項の許可を受けた者が同項の予報業務のための観測に用いる気象測器であつて、正確な観測の実施及び観測の方法の統一を確保するために一定の構造(材料の性質を含む。)及び性能を有する必要があるものとして別表の上欄に掲げるものは、第三十二条の三及び第三十二条の四の規定により気象庁長官の登録を受けた者が行う検定に合格したものでなければ、使用してはならない。ただし、特殊の種類又は構造の気象測器で国土交通省令で定めるものは、この限りでない。

 第十七条第一項の許可を受けた者は、気象庁が行つた観測又は前項の検定に合格した気象測器を用いた観測(以下この項において「本観測」という。)の成果に基づいて同条第一項の予報業務を行うに当たり、本観測の成果を補完するために行う観測(以下この項において「補完観測」という。)に用いる気象測器については、前項の検定に合格していないものであつても、国土交通省令で定めるところにより、本観測の正確な実施に支障を及ぼすおそれがなく、かつ、補完観測が当該予報業務の適確な遂行に資するものであることについての気象庁長官の確認を受けたときは、同項の規定にかかわらず、当該補完観測に使用することができる。

気象業務法「https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC0000000165

では、本問の選択肢と見比べてみましょう。

本問の解説:(a)について

(問題)駅に隣接する商業施設が駅前の気温を電光掲示板で市民に発表するために温度計を設置する場合は、温度計の設置について気象庁長官に届け出なければならない。

→ 答えは です。

政府機関や地方公共団体以外の者が、気象観測の成果を発表するために観測施設を設置した場合、その旨を気象庁長官に届け出なければなりません。

商業施設が駅前の気温を電光掲示板で市民に知らせるために温度計を設置する場合も、これに該当しますので、気象庁長官への届出が必要となります。

したがって、答えは となります。

本問の解説:(b)について

(問題)国立大学が研究のためのデータを得るために風速観測施設を国内に設置する場合は、その旨を気象庁長官に届け出なければならない。

→ 答えは です。

政府機関地方公共団体研究のために観測を行う場合、その観測施設の設置について気象庁長官に届け出る義務はありません。

国立大学法人は、政府機関や地方公共団体ではありませんが、研究のための観測施設について、観測の成果を発表や災害の防止に利用せず研究や教育目的以外に使用されないように適切な措置がとられていれば、政府機関や地方公共団体と同様に、気象庁長官への届出は必要ありません。

したがって、答えは となります。

本問の解説:(c)について

(問題)船舶から気象庁長官に対してその成果の報告を行わなければならない気象の観測に用いる気象測器は、検定に合格したものでなければならない。

→ 答えは です。

気象測器を備え付けなければならない船舶は、気象庁長官に気象および水象の観測の成果を報告しなければならず、これが備える気象測器は、検定に合格したものでなければなりません。

したがって、答えは となります。

本問の解説:(d)について

(問題)気象庁長官は、気象観測の施設の設置の届け出をした者に対し、観測の成果の報告を求めることができる。

→ 答えは です。

気象庁長官は、気象の観測網を確立するために必要があると認めるときは、気象の観測施設の設置を届け出た者に対して、気象の観測の成果を報告することを求めることができます。

したがって、答えは となります。

以上より、本問の解答は、(b)のみ誤り とする となります。

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書いてある場所:P328〜344(気象関連法令集)

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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