【第61回】2024年1月試験(学科専門試験)問1(全天日射や直達日射の観測)

第62回_気象予報士試験_解答速報(予告)

問1

気象庁が行っている全天日射や直達日射の観測について述べた次の文 (a) 〜 (c) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

(a) 全天日射量は、太陽から直接地上に到達する日射を太陽光線に垂直な面で受けた単位面積あたりのエネルギー量である。

(b) 直達日射量は、日の出前や日の入り後の薄明においてもわずかながら観測される。

(c) 気象庁では、観測した直達日射量を用いて、日射が大気中を通過するときのエーロゾル等による日射の減衰を表す指標 (大気混濁係数) を算出している。

   





解説

本問は、気象庁が行っている全天日射や直達日射の観測に関する問題です。

本問の解説:(a)について

(問題)全天日射量は、太陽から直接地上に到達する日射を太陽光線に垂直な面で受けた単位面積あたりのエネルギー量である。

→ 答えは です。

日射には、直達日射散乱日射全天日射 の3種類があります。

直達日射 とは、太陽から直接地上に到達する日射のことで、

直達日射量 とは、太陽光線に垂直な面で受けた単位面積あたりの直達日射のエネルギー量のことです。

散乱日射 とは、大気中の散乱・反射によって天空の全方向から入射する日射のことで、

散乱日射量 とは、水平面で受けた単位面積あたりの散乱日射のエネルギー量のことです。

全天日射 とは、直達日射散乱日射 を合わせた日射のことで、

全天日射量 とは、水平面で受けた単位面積あたりの全天日射のエネルギー量のことです。

日射の種類

したがって、全天日射量とは「太陽から直接地上に到達する日射を太陽光線に垂直な面で受けた単位面積あたりのエネルギー量」ではなく「天空の全方位から入射する日射を水平面で受けた単位面積あたりのエネルギー量」ですので、答えは となります。

本問の解説:(b)について

(問題)直達日射量は、日の出前や日の入り後の薄明においてもわずかながら観測される。

→ 答えは です。

問題(a)で考えたように、直達日射量は、太陽から直接地上に到達する日射のエネルギー量のことですので、日の出前や日の入り後に観測されることはありません

一方、全天日射量は、大気中の散乱・反射による日射のエネルギー量ですので、日の出前と日の入り後の薄明にもわずかながら観測されます

したがって、直達日射量は、日の出前や日の入り後の薄明においては観測されませんので、答えは となります。

本問の解説:(c)について

(問題)気象庁では、観測した直達日射量を用いて、日射が大気中を通過するときのエーロゾル等による日射の減衰を表す指標 (大気混濁係数) を算出している。

→ 答えは です。

大気混濁係数(ホイスナー・デュボアの大気混濁係数)とは、大気中のエーロゾル、水蒸気などによる吸収・散乱による日射の減衰を表す指標です。

値が大きいほど、太陽の光が強く減衰されていることを意味します。

てるるん

簡単に言うと、大気中のエーロゾルや水蒸気などが、どれくらい太陽の光を弱めるかを表したものだよ!

大気混濁係数は、晴れた日の直達日射量をもとに求められます。

直達日射量は、日射が通過する大気中の距離(大気路程)光学的厚さが長くなると減少しますので、この性質を利用して、実際の観測値と、エーロゾルなどがない仮想大気での日射の減衰を比較することで、大気混濁係数を求めています。

(気象予報士試験の範囲としては、上記を理解していればOKですが、もっと詳しく知りたい人は 気象庁ホームページ(大気混濁係数の算出) を読んでみてください。)

したがって、気象庁では、観測した直達日射量を用いて、日射が大気中を通過するときのエーロゾル等による日射の減衰を表す指標 (大気混濁係数) を算出していますので、答えは となります。

以上より、本問の解答は、(a) (b) (c) とする となります。

ここに書いてあるよ
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書いてある場所:ー


書いてある場所:P275〜279(日射の観測、直達日射、全天日射、大気混濁係数、光学的厚さ)


書いてある場所:P15(日照時間の観測、直達日射量、全天日射量)


書いてある場所:P228(直達日射、全天日射)


書いてある場所:P42〜44(日照の観測、直達日射、全天日射、大気混濁係数)


気象庁ホームページ「日射・赤外放射 さらに詳しい知識


気象庁 高層気象台ホームページ「大気の光学的厚さの観測

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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