【第61回】2024年1月試験(学科専門試験)問7(雷ナウキャスト)

問7

気象庁が発表している雷ナウキャストについて述べた次の文 (a) ~ (c) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

(a) 雷ナウキャストは、雷監視システムや気象レーダーの観測結果などをもとにして、雷の激しさや雷の可能性を解析し、1時間後までの予測を行うもので、10分毎に更新される。

(b) 雷ナウキャストでは、雷雲の位置を過去の移動に基づいて予測するとともに、統計的手法により盛衰傾向の予測も加味しており、予測の対象時間の途中で新たに発生する雷雲も予測できる。

(c) 雷の可能性や激しさを表す活動度は1から4まである。活動度1は、現在、雷は発生していないが、今後1時間以内に落雷の可能性がある状況であることを示している。

   





解説

本問は、雷ナウキャストに関する問題です。

本問の解説:(a)について

(問題)雷ナウキャストは、雷監視システムや気象レーダーの観測結果などをもとにして、雷の激しさや雷の可能性を解析し、1時間後までの予測を行うもので、10分毎に更新される。

→ 答えは です。

雷ナウキャスト とは、雷の激しさや雷の可能性を1km格子単位で解析し、その1時間後(10分~60分先)までの予測を行うもので、10分毎に更新しています。

最新の雷ナウキャストは、気象庁ホームページの「雨雲の動き」で「雷活動度(雷ナウキャスト)」を選択すると閲覧できます。

雷ナウキャスト(気象庁HP)

雷の解析は、雷監視システムによる雷放電の検知や、レーダー観測などをもとにして活動度1~4で表します。

雷ナウキャスト
画像:気象庁ホームページ「雷ナウキャストとは」の画像をもとに作成

雷監視システムとは、雷により発生する電波を受信し、その位置、発生時刻等の情報を作成するシステムです。

この情報を航空会社などに直ちに提供することにより、空港における地上作業の安全確保や航空機の安全運航に有効に利用されています。

気象庁では、この雷監視システムをライデンLIDENLIghtning DEtection Network system)と呼んでいます。

ライデンについてもっと詳しく知りたい方は、気象庁ホームページ「雷監視システム」をごo参照ください。

したがって、雷ナウキャストは、雷監視システムや気象レーダーの観測結果などをもとにして、雷の激しさや雷の可能性を解析し、1時間後までの予測を行うもので、10分毎に更新されますので、答えは となります。

本問の解説:(b)について

(問題)雷ナウキャストでは、雷雲の位置を過去の移動に基づいて予測するとともに、統計的手法により盛衰傾向の予測も加味しており、予測の対象時間の途中で新たに発生する雷雲も予測できる。

→ 答えは です。

雷ナウキャストでは、10分毎の解析を基に60分先まで10分毎に予測を作成しています。

予測の作成では、降水ナウキャストと同様に移動予測が主な予測手法となります。

移動予測の他、雷雲の盛衰傾向を少しでも表現するため、発雷領域の特徴(周辺領域の放電数、レーダー3次元データなど)から、統計的手法により作成した関係式を用いて盛衰傾向の予測も加味しています。

下図は、雷雲の盛衰傾向予測を行った事例です。

雷雲の盛衰傾向の予測事例
画像:気象庁ホームページ「雷雲の盛衰傾向の予測」の画像をもとに作成

この事例では、盛衰傾向(雷活動の増加傾向)はある程度捉えていますが、現在の予測技術では、実況の大きな変化を正確に予測することは難しい状況です。

また、移動予測や盛衰傾向の予測では、予測時刻の途中で新たに発生する雷雲は予測できないことに注意が必要です。

したがって、雷ナウキャストでは、雷雲の移動や盛衰傾向の予測はできますが、新たに発生する雷雲は予測できませんので、答えは となります。

本問の解説:(c)について

(問題)雷の可能性や激しさを表す活動度は1から4まである。活動度1は、現在、雷は発生していないが、今後1時間以内に落雷の可能性がある状況であることを示している。

→ 答えは です。

雷ナウキャストの活動度2~4は、既に積乱雲が発生しており、いつ落雷があってもおかしくない状況です。

雷監視システムによる雷放電の検知数が多いほど、活動度は数値は大きくなります。

これらが表れている領域では、直ちに建物の中など安全な場所へ避難が必要です。

また、活動度1は、雨雲が雷雲に発達する可能性があることを表します。

活動度1が現れた領域は、1時間以内に雷が発生する可能性があることを認識した行動が必要です。

避難に時間がかかる場合は、雷注意報や活動度1の段階から早めの対応を心がける必要があります。

雷の活動度
画像:気象庁ホームページ「雷ナウキャストの見方」の画像をもとに作成

したがって、雷の可能性や激しさを表す活動度は1から4まであり、活動度1は、現在、雷は発生していないが、今後1時間以内に落雷の可能性がある状況であることを示していますので、答えは となります。

以上より、本問の解答は、(a) (b) (c) とする となります。

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書いてある場所:ー


書いてある場所:P50(雷監視システム(LIDEN))、P195(雷ナウキャスト)


書いてある場所:P412〜413(雷ナウキャスト)


書いてある場所:ー


気象庁ホームページ「雷ナウキャストとは


気象庁ホームページ「雷ナウキャストの見方


気象庁ホームページ「雷ナウキャストの事例


気象庁ホームページ「雷監視システム


気象庁ホームページ「雷ナウキャストの利用と留意点

備考

試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。

当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。

また、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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