問9
日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ) について述べた次の文章の下線部 (a) ~ (c) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。
日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ) は、冬の日本海で、寒気の吹き出しに伴って形成される、(a) 長さが1000km程度の収束帯である。強い寒気が南下した時に、収束帯付近で対流雲が組織的に発達し、陸地にかかると局地的に大雪をもたらすことがある。このような大雪は、(b) 北陸から東北地方の日本海側にかけての地域で発生することが多く、近畿以西の日本海側ではほとんど見られない。この収束帯の形成には、(c) 季節風が朝鮮半島の北にある山岳で2つに分かれ、風下の日本海の上で合流することのほか、海岸線の形や海面水温による気団変質の非一様性なども効いている。
本問は、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)に関する問題です。
本問の解説:(a)について
(問題)日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ) は、冬の日本海で、寒気の吹き出しに伴って形成される、(a) 長さが1000km程度の収束帯である。
→ 答えは 正 です。
日本海寒帯気団収束帯(Japan-Sea Polar-Airmass Convergence Zone:JPCZ)とは、
冬の日本海で、寒気の吹き出しに伴って朝鮮半島北部から本州沿岸に形成される収束帯のことです。
その長さは日本海の大きさである 1000km 程度です。
現象の水平スケールは「日本の大きさ=約3000km」を覚えておくとイメージしやすいよ!
したがって、日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ) は、冬の日本海で、寒気の吹き出しに伴って形成される、長さが1000km程度の収束帯ですので、答えは 正 となります。
本問の解説:(b)について
(問題)強い寒気が南下した時に、収束帯付近で対流雲が組織的に発達し、陸地にかかると局地的に大雪をもたらすことがある。このような大雪は、(b) 北陸から東北地方の日本海側にかけての地域で発生することが多く、近畿以西の日本海側ではほとんど見られない。
→ 答えは 誤 です。
日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ) は、強い寒気が南下した時に形成され、収束帯付近では対流雲が
組織的に発達するため、陸地にかかると局地的に大雪をもたらすことがあります。
下図は2024年1月23日 (火) 15時の気象衛星画像で、
日本海に日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ) が形成されていることが分かります。
この日の中国地方の上空約5500mには、氷点下36度以下のこの冬一番の強い寒気が流れ込み、
1月25日にかけて強い冬型の気圧配置となりました。
この日の24時間予想降雪量は、日本海側で約40〜50cmが予想されており、
島根県の横田アメダスでは1月25日9時の観測で43cmの積雪を観測し、大雪警報も発表されました。
したがって、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)による大雪は、北陸から東北地方の日本海側だけでなく、中国地方など近畿以西の日本海側でも見られますので、答えは 誤 となります。
本問の解説:(c)について
(問題)この収束帯の形成には、(c) 季節風が朝鮮半島の北にある山岳で2つに分かれ、風下の日本海の上で合流することのほか、海岸線の形や海面水温による気団変質の非一様性なども効いている。
→ 答えは 正 です。
日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)は、
冬型の気圧配置が強まって、シベリア大陸から日本海に流れ込んできた冷たい風が、
朝鮮半島北部に位置する長白(読:チャンパイ)山脈 (最高峰:白頭山(読:ペクトサン、はくとうさん)2744m) に
よって、二分された後、その風下である日本海で再び合流することで形成されます。
また、海岸線の地形によって、シベリア大陸からの寒気に強弱が生じたり、暖かい海面水温(約5~15度)によって寒気が暖かく湿った空気に変わる(=気団変質)ことも、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)を形成する一因となっています。
したがって、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)の形成には、季節風が朝鮮半島の北にある山岳で2つに分かれ、風下の日本海の上で合流することのほか、海岸線の形や海面水温による気団変質の非一様性なども効いていますので、答えは 正 となります。
以上より、本問の解答は、(a) 正 (b) 誤 (c) 正 とする 2 となります。
書いてある場所:P133〜134(日本海寒帯気団収束帯(JPCZ))
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