問8
地球大気の風や温度などの物理量を経度方向に帯状平均した子午面内における大循環の構造について述べた次の文 (a) ~ (c) の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1〜5の中から1つ選べ。
(a) ハドレー循環の下降流域は、1年を通じて緯度40度から50度付近にあり、この緯度帯では降水量が少ない。
(b) フェレル循環は、水平スケールが10000kmを超える傾圧不安定波が成長する傾圧性の強い緯度帯に見られる。
(c) フェレル循環は、高温域で下降し低温域で上昇する間接循環となっている。
本問は、子午面循環のうち、ハドレー循環とフェレル循環に関する問題です。
本問の解説:(a) について
(問題)ハドレー循環の下降流域は、1年を通じて緯度40度から50度付近にあり、この緯度帯では降水量が少ない。
→ 答えは 誤 です。
ハドレー循環 とは、子午面循環(=地球規模で起こる大気の大循環)のひとつで、赤道付近で暖められて上昇した空気が南北に分かれ、緯度30度付近で下降し、赤道付近に戻る直接循環のことです。
下図は、6〜8月および12〜2月の経度方向に帯状平均した子午面循環の模式図です。


上図を見ると、ハドレー循環の下降流域は、年間を通して緯度30度付近にあることが分かります。
(3〜5月、9〜11月は上図の平均的な循環をすると考えれば、年間を通してハドレー循環の下降流域は、緯度30度付近にあると考えることができます。)
また、この下降流域を亜熱帯高圧帯といい、乾燥した空気が下降して高圧帯を形成していますので、降水量は少なくなっています。

世界最大の砂漠であるサハラ砂漠も亜熱帯高圧帯に覆われていて、雨が少ないから砂漠になったんだよ!
したがって、ハドレー循環の下降流域は、1年を通じて「緯度40度から50度付近」ではなく「緯度30度付近」にあり、この緯度帯では降水量が少ないので、答えは 誤 となります。
本問の解説:(b) について
(問題)フェレル循環は、水平スケールが10000kmを超える傾圧不安定波が成長する傾圧性の強い緯度帯に見られる。
→ 答えは 誤 です。
フェレル循環 とは、子午面循環(=地球規模で起こる大気の大循環)のひとつで、緯度30度付近で下降した空気が中緯度帯で地表付近を北上し、緯度60度付近で上昇して、再び緯度30度付近に戻る間接循環のことです。
下図は、6〜8月および12〜2月の経度方向に帯状平均した子午面循環の模式図です。




上図を見ると、フェレル循環は、傾圧不安定波が成長する傾圧性の強い緯度帯である「中緯度帯」に位置することが分かります。
ここまでは正しいですが、傾圧不安定波の水平スケールが誤りです。
傾圧不安定波 とは、暖気と寒気がぶつかる前線帯で発生する大気の波動のことで、温帯低気圧や移動性高気圧を形成する要因となります。
一般に、傾圧不安定波の水平スケールは 約10000km ではなく、約4000km と言われています。



地球一周の距離(外周)が 約40000km というのを知っていると、温帯低気圧や移動性高気圧を発生・移動させる傾圧不安定波が 約10000km というのがおかしいことに気づけるよ!
ちなみに、水平スケールが 約10000km 以上の現象の1つとして、プラネタリー波があげられます。
プラネタリー波 とは、偏西風が大規模な山脈や地形にぶつかることで、対流圏に生じる非常に大きな停滞性の大気の波動のことで、波数が1~3、波長が約10,000km以上に達します。


したがって、フェレル循環は、傾圧不安定波が成長する傾圧性の強い緯度帯に見られますが、傾圧不安定波の水平スケールは「10000kmを超える」ではなく「4000km程度」ですので、答えは 誤 となります。
本問の解説:(c) について
(問題)フェレル循環は、高温域で下降し低温域で上昇する間接循環となっている。
→ 答えは 正 です。
問題 (b) で見たように、フェレル循環は、高温域で下降し、低温域で上昇する循環となっています。
また、フェレル循環は、他の循環のように直接的に空気を動かしているわけではありません。
中緯度帯では、寒気と暖気が混ざり合うことで、結果的にトータルでエネルギー(=熱)が南から北に移動しているように見えるのです。
このように、実際には空気の流れが直接熱を運んでいるわけではないため、フェレル循環は間接循環と呼ばれています。
したがって、フェレル循環は、高温域で下降し低温域で上昇する間接循環となっていますので、答えは 正 となります。
以上より、本問の解答は、(a) 誤 (b) 誤 (c) 正 とする 5 となります。
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
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