問14
気象庁が発表する⼤⾬に関する防災気象情報について述べた次の⽂ (a) 〜 (c) の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1〜5の中から1つ選べ。
(a) ⼤⾬特別警報(⼟砂災害)は、設定された⼟壌⾬量指数の基準値以上となる1km格⼦が1格⼦以上出現するか、または出現すると予想され、かつ、激しい⾬がさらに降り続くと予想される⼆次細分区域に発表される。
(b)「顕著な⼤⾬に関する気象情報」は、⼤⾬による災害発⽣の危険度が急激に⾼まっている中で、線状の降⽔帯により⾮常に激しい⾬が同じ場所で降り続いている状況を「線状降⽔帯」というキーワードを使って解説する情報で、警戒レベル4相当以上の状況で発表される。
(c)「記録的短時間⼤⾬情報」は、⼤⾬警報の発表中にその地域で、数年に⼀度しか起こらないような記録的な短時間の⼤⾬が予測されたときに発表される。
本問は、気象庁が発表する⼤⾬に関する防災気象情報に関する問題です。
本問の解説:(a) について
(問題)⼤⾬特別警報(⼟砂災害)は、設定された⼟壌⾬量指数の基準値以上となる1km格⼦が1格⼦以上出現するか、または出現すると予想され、かつ、激しい⾬がさらに降り続くと予想される⼆次細分区域に発表される。
→ 答えは 誤 です。
大雨特別警報(土砂災害)は、警報の発表基準をはるかに超える大雨が予想され、土砂災害による重大な災害の起こるおそれが著しく高まっている場合に発表される情報です。
気象庁では平成25年8月30日から運用を開始し、数十年に一度といわれるような大雨に対して最大級の警戒を呼びかけています。
大雨特別警報(土砂災害)は、以下の条件がそろったときに発表されます。
- 過去の多大な被害をもたらした現象に相当する土壌雨量指数の値以上となる1km格子が概ね10個以上まとまって出現するか、または出現すると予想される場合。
- その格子が含まれる二次細分区域内で、激しい雨がさらに降り続くと予想される場合。
なお、二次細分区域とは、気象警報・注意報の発表に用いる区域のことです。
(詳細は気象庁ホームページ「気象警報・注意報や天気予報の発表区域」をご覧ください。)
したがって、⼤⾬特別警報(⼟砂災害)は、設定された⼟壌⾬量指数の基準値以上となる1km 格⼦が「1格⼦以上」ではなく「概ね10格子以上」出現するか、または出現すると予想され、かつ、激しい⾬がさらに降り続くと予想される⼆次細分区域に発表されますので、答えは 誤 となります。
本問の解説:(b) について
(問題)「顕著な⼤⾬に関する気象情報」は、⼤⾬による災害発⽣の危険度が急激に⾼まっている中で、線状の降⽔帯により⾮常に激しい⾬が同じ場所で降り続いている状況を「線状降⽔帯」というキーワードを使って解説する情報で、警戒レベル4相当以上の状況で発表される。
→ 答えは 正 です。
顕著な大雨に関する気象情報 とは、大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている中で、線状の降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で実際に降り続いている状況を「線状降水帯」というキーワードを使って解説する情報のことです。
この情報は警戒レベル相当情報を補足する情報で、警戒レベル4相当以上の状況で発表します。
つまり、顕著な大雨に関する気象情報は、大雨特別警報や土砂災害警戒情報などが発表されている状況で、それらの情報を補足するために発表されるということです。

なお、線状降水帯 とは、次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域のことです。

具体的には、下層の「①暖かく湿った風」が「②地形や前線の影響などで上昇」し「③積乱雲が発生」、「④上空の風に流される」ことで列をなすように積乱雲が次々に発生し、雨域が線状にのびて形成されます。

顕著な大雨に関する気象情報は、現在、10分先、20分先、30分先のいずれかにおいて、以下の基準をすべて満たす場合に発表されます。
- 前3時間積算降水量(5kmメッシュ)が100mm以上の分布域の面積が500km2以上
- 1.の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
- 1.の領域内の前3時間積算降水量最大値が150mm以上
- 1.の領域内の土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を超過
※ 情報を発表してから3時間以上経過後に発表基準を満たしている場合は再発表されるほか、3時間未満であっても対象区域に変化があった場合は再発表されます。
より詳しく知りたい方は、気象庁ホームページ「線状降水帯に関する各種情報」をご覧ください。
したがって、「顕著な⼤⾬に関する気象情報」は、⼤⾬による災害発⽣の危険度が急激に⾼まっている中で、線状の降⽔帯により⾮常に激しい⾬が同じ場所で降り続いている状況を「線状降⽔帯」というキーワードを使って解説する情報で、警戒レベル4相当以上の状況で発表されますので、答えは 正 となります。
本問の解説:(c) について
(問題)「記録的短時間⼤⾬情報」は、⼤⾬警報の発表中にその地域で、数年に⼀度しか起こらないような記録的な短時間の⼤⾬が予測されたときに発表される。
→ 答えは 誤 です。
記録的短時間⼤⾬情報 とは、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、観測(地上の雨量計による観測)したり、解析(気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせた分析:解析雨量)したりしたときに発表される情報です。

具体的には、現在の降雨がその地域にとって土砂災害や浸水害、中小河川の洪水災害の発生につながるような、稀にしか観測しない雨量であることをお知らせするために、雨量基準を満たし、かつ、大雨警報発表中に、キキクル(危険度分布)の「危険」(紫)が出現している場合に発表されます。
雨量基準は1時間雨量の歴代1位または2位の記録を参考に、概ね府県予報区ごとに定められています。
また、発表される際には、大雨を観測した観測点名や市町村等が明記されます。
より詳しく知りたい方は、気象庁ホームページ「記録的短時間大雨情報」をご覧ください。
したがって、「記録的短時間⼤⾬情報」は、⼤⾬警報の発表中にその地域で、数年に⼀度しか起こらないような記録的な短時間の⼤⾬が「予測されたとき」ではなく「観測または解析したとき」に発表されますので、答えは 誤 となります。
以上より、本問の解答は、(a) 誤 (b) 正 (c) 誤 とする 4 となります。
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
当記事の解説は「一般財団法人 気象業務支援センター」様とは無関係ですので、情報の誤りや不適切な表現があった場合には、お問い合わせからご連絡ください。
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