問5
図A、図Bはそれぞれ、中緯度における大気上端から対流圏界面付近までの層と、大気上端から地表面付近までの層のいずれかによる、太陽放射と地球放射の波長ごとの吸収率を示したものである。この両図の下には波長と吸収に寄与する気体 (吸収体) を示している。これらの図について述べた以下の文章の空欄 (a) ~ (c) に入る数値と語句の組み合わせとして適切なものを、下記の1~5の中から1つ選べ。
図A、図Bより、波長 (a) の紫外線は、大気上端から対流圏界面付近までの層の中でほぼ吸収されてしまい、地表面付近にはほとんど到達しないことが分かる。図Bでは図Aと異なり (b) による高い吸収率が多くの波長で示されており、このことから図Bは大気上端から (c) 付近までの大気の層による吸収率を示したものであることが分かる。
本問は、大気による放射エネルギーの吸収率に関する問題です。
本問の解説:(a) について
(問題)図A、図Bより、波長 (a) の紫外線は、大気上端から対流圏界面付近までの層の中でほぼ吸収されてしまい、地表面付近にはほとんど到達しないことが分かる。(図A、図Bはそれぞれ、中緯度における大気上端から対流圏界面付近までの層と、大気上端から地表面付近までの層のいずれかによる、太陽放射と地球放射の波長ごとの吸収率を示したものである。この両図の下には波長と吸収に寄与する気体 (吸収体) を示している。)
→ 答えは 0.3μm以下 です。
吸収率 とは、ある物体が吸収した放射エネルギーに対する、入射した放射エネルギーの比のことです。
簡単に言うと、「入ってきたエネルギーのうち、どれだけを吸収したか」を表す割合のことだよ!
また、太陽光は波長によって赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線などに分けられます。
紫外線はさらに波長の長さにより、UV-A、UV-B、UV-Cに分類されます。
UV-A(315 – 400 nm)
地表に届きやすく、生物への影響は比較的小さいです。
UV-B(280 – 315 nm)
大部分が成層圏オゾンで吸収されますが、残りが地表に届き、生物に大きな影響を与えます。
UV-C(100 – 280 nm)
成層圏や、それより上空のオゾンと酸素分子によって完全に吸収され、地表には届きません。
つまり、波長 100 – 315 nmの紫外線(UV-B、UV-C)は、対流圏より上層でほとんど吸収されているのです。
では、図A、Bを見てみましょう。
図A、Bでは、どちらも0.3μm以下で、吸収率がほとんど100%になっており、先ほど考えた紫外線の特徴とも一致しています。
また、図A、図Bはそれぞれ、大気上端から対流圏界面付近までの層と、大気上端から地表面付近までの層のいずれかの吸収率です。
つまり、どちらの図でも吸収率がほぼ100%ということは、大気上端から対流圏界面付近までの層でほとんど吸収されていると判断することができます。
したがって、波長 0.3μm以下 の紫外線は、大気上端から対流圏界面付近までの層の中でほぼ吸収されてしまい、地表面付近にはほとんど到達しないことが分かりますので、答えは 0.3μm以下 となります。
本問の解説:(b) (c) について
(問題)図Bでは図Aと異なり (b) による高い吸収率が多くの波長で示されており、このことから図Bは大気上端から (c) 付近までの大気の層による吸収率を示したものであることが分かる。(図A、図Bはそれぞれ、中緯度における大気上端から対流圏界面付近までの層と、大気上端から地表面付近までの層のいずれかによる、太陽放射と地球放射の波長ごとの吸収率を示したものである。この両図の下には波長と吸収に寄与する気体 (吸収体) を示している。)
→ 答えは (b) 水蒸気 (c) 地表面 です。
下図は、図Aと図Bを重ねた図です。
上図によると、図Bは図AよりもH2Oによる吸収率が大きいことが分かります。
大気中の水蒸気のほとんどは対流圏に含まれていますので、水蒸気による吸収が大きいということは、対流圏を含む層であるということです。
つまり、図Bは大気上端から地表面付近までの層であると判断できます。
したがって、図Bでは図Aと異なりH2Oによる高い吸収率が多くの波長で示されており、このことから図Bは大気上端から地表面付近までの大気の層による吸収率を示したものであることが分かりますので、答えは (b) 水蒸気 (c) 地表面 となります。
以上より、本問の解答は、(a) 0.3μm以下 (b) 水蒸気 (c) 地表面 とする 2 となります。
試験問題は「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て掲載しています。
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